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A Small Miracle

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                      「聖なる夜に A Small Miracle」
                            ピーター・コリントン
                            2000年 BL出版




寒い冬の朝、おばあさんは家の寝台の上で目を覚まします。家といっても、コンテナのような狭い木の箱のような小屋です。おまけに床は朽ちて抜けています。

粗末な寝台から降り、ストーブに火をつけようとしましたが、もう石炭はありません。パンもミルクもからっぽです。お金を入れておく鍵のついた大切な小箱を開けると、何も入っていませんでした。

おばあさんはアコーディオンを背負って家を出ました。外は一面の雪です。寒いけれど、おばあさんには手袋もありません。

おばあさんは町へ向かって歩きます。今日はクリスマスイブなのです。途中にある小さな教会の中をのぞくと、帽子をかぶったおじいさんが、ちょうど馬小屋の場面の人形を並べていました。

町には人がたくさんいました。モミの木や大きな箱や紙袋など、みんなたくさんの荷物を抱え、忙しそうに歩いています。だからなのでしょうか。カフェのウインドウの前でおばあさんがアコーディオンを弾いても、誰も気づこうとはしません。カフェのお客さんが何度も変わる間、おばあさんはずっとアコーディオンを弾いていました。とうとう疲れて、おばあさんは座り込んでしまいました。カフェのお隣は、質屋でした。おばあさんはゆっくりと立ち上がり、質屋の重い扉を開けました。

アコーディオンを売れば、クリスマスイブにパンとミルクくらいは食べられます。でも、明日はどうするのでしょう?明後日は何を食べるのでしょう?・・・いいえ、おばあさんには、明日よりも今日、今、この時、空腹を満たすことの方が大切なのです。大切なアコーディオンが、たった一枚の紙幣になりました。おばあさんはその紙幣をていねいに小箱に入れると、寒い外へ出て行きました。

その時のこと。マスクで顔の半分を覆ったバイクに乗った男が、おばあさんの全財産をひったくって逃げて行きました。なんということでしょう。でも、どうにもなりません。おばあさんはとぼとぼと、家へ向かって来た道を戻ります。

行きがけにのぞいた教会の前を通りかかると、なんと先ほどのひったくりが教会の献金箱を盗んで出てきたのです。どこにそんな力があったのでしょう。おばあさんは夢中で男に立ち向かい、献金箱を奪い返しました。

教会の中に入ると、馬小屋はめちゃくちゃです。マリアもヨセフも東方の三博士も、生まれたばかりの赤子まで、床に投げ捨てられていました。おばあさんは馬小屋をあるべき姿に戻し、献金箱を馬小屋の前に置くと、静かに教会から出て行きました。

おばあさんは雪の中をよろよろと歩きます。空腹で、おまけにさっき、残っていた全ての力を使ってしまいました。もうこれ以上は歩けません。立っていることさえできません。ばたりと、おばあさんは雪の中に倒れてしまいました。

おばあさんは死んでしまうのでしょうか?
いいえ!もちろん、これからミラクルがはじまるのです。
でも、これは「奇蹟」なんでしょうか?正しい者に起こるべくして起きた出来事のように思えます。
ともあれどんな奇蹟が起きるのか、ピーター・コリントンの表情豊かな絵に、自分でおはなしをつけて楽しみます。(字のない絵本です)

今年もまた、メリークリスマス!

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by haruno-urarano | 2010-12-22 12:47 | 翻訳絵本