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チョコレートをたべた さかな

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                        「チョコレートをたべた さかな」
                      みやざきひろかず 1989年 BL出版



セピア色のさかなは
さかなでいることに 満足していた

あるひ
人間の少年が落とした 
茶色のちいさな カケラを 
口にするまでは

さかなはそのカケラを食べたひから
さかなでいることが つらくなった

ひるも よるも どこにいても あたまのなかは
ちゃいろのカケラのことで いっぱいだった

でも さかながさかなでいるあいだ
二度と ちゃいろのカケラを
食べることは なかった



もう20年以上も前になるだろうか。
県の養蚕関係の職場に配属された友人に、面白い話を聞いた。
何でも蚕に、桑の葉の代わりに、りんごを与えることにしたそうだ。
りんごの香りの絹糸を採る実験だったのか、
本当にりんごだったのか、それともみかんだったろうか、
その辺はよく覚えていないが、とにかく果物を食べさせたと記憶している。
居合わせた一同、蚕が果物を食べることに驚いた。
毛虫や芋虫のたぐいのものは、葉っぱしか食べないと決めつけていた。
そりゃ葉っぱより、虫だってりんごの方が旨いのだろう・・・
と思ったら、違うらしい。
桑の葉とりんごを一緒に与えると、桑の葉ばかり食べて、りんごは食べないそうだ。
「やっぱり蚕は蚕だね。」と言って、みんなで笑った。

蚕はりんごをお気に召さなかったようだけれど、
それは蚕のためには良かったと、私は思う。
もしもりんごの旨さに夢中になっていたら、
蚕は繭になるのを忘れたかもしれない。
それとも繭の中で、りんごの味を求めてもがき苦しむかもしれない。
もしも来世があるなら、蚕は人間に生まれてしまうかもしれない。
そして人間になってしまったら、蚕はきっと、りんごだけでは飽き足らないだろう。

でも
もしも蚕に与えていたのが、チョコレートだったら・・・
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by haruno-urarano | 2011-06-18 17:08 | 日本の絵本