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カテゴリ:日本の絵本( 69 )

くぎのスープ

今日の絵本はこちら

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                          「くぎのスープ」 スウェーデン民話
                菱木晃子・文/スズキコージ・絵 2009年 フェリシモ出版






これはキャロラインから初めて聞かせてもらったお話。

自信はないけど、多分そう。

キャロライン母さんが暖炉の前で、いかにもいい香りだという顔で話をするのを、
メアリーは目をキラキラさせながら、ローラは唾をゴックンと飲み込みながら、
そして私はTVの前で、夢中になって聞いていた。

そう、大好きだった、「大草原の小さな家」のこと。

そのお話が、コージズキンの絵本になった!すぐ買った!

そうそう、やっぱりあの話。
「くぎ」1本だけで王様に出しても恥ずかしくないスープが出来ちゃうあの話!

子どもの頃は、おもしろいと思っただけだったけど、
今は色んなことを考える。

おばあさんはケチで愚かだったけど、単純に騙されるのも、案外幸せかもね。
いつまでも、このトリックに気づかないのかな?
旅人は、こいつはもしや、プロのペテン師ってやつ?
行く先々で、「くぎのスープ」をご披露しているのかな?

だとしたら、
いつか私の所へ来てちょうだい!
私は絶対騙されないぞ!
でもね、
騙されたフリはしてあげる。
だって飲みたいもん!
王様に出しても恥ずかしくない、「くぎのスープ」。
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by haruno-urarano | 2009-12-20 08:52 | 日本の絵本

ちょっときて

今日の絵本はこちら

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                         「ちょっときて」 瀬川康男
                           1996年 小学館




何度読んでも いつも大好き。
ねずみとねこの ぽかぽか絵本。


甘えん坊の ねず嬢に 首ったけの ねこ爺さん。
かな。

上目遣いに 「ちょっときて」 
なんて 甘い声でも出せばもう ねこメロメロ。

だからわざと 言ってみる。
「ちかづかないで」

ほうら ねこ 期待通りの顔をする。


「あっちへいって」
「もってきて」
「とんでみて」
何でも言うこと聞いてくれる。

だから安心。

でもね。

「いっちゃって」
そんなこと 言ってもいいの?

「はやくいって」

あ。
行っちゃうよ。

ねこちゃん ホントに 行っちゃうよ。

いいの? いいの?


でも。 今夜は月夜かな?


「○○○○○」


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ねず嬢に もてあそばれる。
そんなフリして 小さな「悪女」 喜ばせる。
ねこ爺さん。

いつも仲良し。

いつもぽかぽか。
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by haruno-urarano | 2009-12-02 21:39 | 日本の絵本

ももたろう

今日の絵本はこちら

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                                 「ももたろう」  
              作/水谷章三 絵/スズキコージ  2003年  にっけん教育出版社




見てみて~、この二人の顔~。

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なんかとっても楽しそうねぇ~。
ももたろうさん、カワイ~顔して、
おじゃる丸の「ももマン」とどっちがカワユイかな~♡
    (そりゃヤッパリおじゃるかな・・・)


二人で仲よく、何してんのかな~。
そうだ鬼さん、ももたろうさんにリンパの足踏みマッサージしてもらってんのかな?
「あ~~ヨイ気持ちじゃわい。うむ、そこそこ。もっと強くぅ~」
とか、言ってそう。
ももたろうさんはね、「次は僕の番だからねぇ~~。」って言ってるの。


そうなのですよ。
この「ももたろう」、フツーの「ももたろう」とはチョイト違うんですよ。
なんてったってコージズキンの「ももたろう」ですからね。
・・・と言っても、愉快なお話を書いたのは、水谷さんですけど。


この本に出てくる桃太郎は、優等生の英雄の少年なんかじゃなくて、
食っちゃ寝、食っちゃ寝、ごろごろごばかりしている男の子。
鬼退治に行く途中で出会うイヌ、サル、キジには、大事なきびだんご、
「ひとつはやれん、はんぶんだ」


そうだよ、そうだよ!オコサマたるもの、
ナマケモノで、タイセツナモノは簡単には手放さないのさっ!
だけどつよーいモノがダイスキで、エイ・ヤー・トーッ!って大暴れがしたいのさっ!
イイゾ!これぞオコサマの鏡!


つまりなにさ、この本に出てくる桃太郎は、
宿題も家の手伝いもせずに遊んでばかりいて、だけど絶対ヒーローになりたい、
キミタチなのさっ!


そんなキミタチ、もし本物のヒーローになりたければね・・・


へへへ。
オリコウなんか、しちゃイケナイよ♪


さあこの本を読んで、今日もイッパイなまけるのさ~~♪


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by haruno-urarano | 2009-11-21 23:23 | 日本の絵本

たこしんごう

今日の絵本はこちら


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             「たこしんごう」   作・絵/赤川明  2000年  ひかりのくに発行 



うまそう~?
な、タコの爺ちゃんと孫ちゃんが、仲良くお散歩~♪

今年ももう11月。
ぽっかぽかのおひよりに、の~んびりお散歩、したいよねぇ~。
あ、違った。ここは海の中だった。
じゃあ、もう水もチメタイ季節だよ~。


でも、タコの爺ちゃんと孫ちゃんなら、チメタイ水の方がいいよね。
熱かったらユデダコになっちゃうもん!


茹でたてのユデダコ、食べたいニャー♡


海の中は美味しそうなお魚さんがイ~~ッパイで、いいなぁ~。
うん、海中散歩も悪くない・・・美酒持参で食べ放題!
あ、でも息ができないかも?
いやいや、浦島さんだって海の中でご馳走食べたんだから、きっと大丈夫~♪


ほらほらタコの爺ちゃんと孫ちゃん、のんびりしてると食べられちゃうよっ!


でもね。爺ちゃんと孫ちゃん、先に進めないのよ。
だってスンゴイ魚の群に行く手を阻まれちゃったのだもん!


これ、鯵かな?鰯かな?
いや、鮪?鯛?・・・って、群れるのかな?
でもたい焼きにも見えるよね。
さては「およげたいやきくん」の末裔かな?


う~ん、こんだけいたら・・・刺身でしょ~、塩焼き~、
から揚げに、ツミレ汁、煮魚もいいし~、干物もいいねぇ~。
お魚好きでもさすがに食べ飽きちゃうかなぁ~。


そうそう。自分の話はサテオイテ、タコの爺ちゃんと孫ちゃんでした。


魚の群がちっとも途切れないから、手を挙げて

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「わたりまあ~す!」・・・・・「へい、どちらまで?」


魚相の悪いタクシーの運ちゃんしか止まってくれないよぉ~~!
んもう~っ!タコの孫ちゃん、怒って墨をブブーッと吐いちゃいました。


爺ちゃん、監督不行届き?で魚たちにモーレツに叱られペコペコ・・・。
もうガックリしちゃって、「孫よ、散歩はやめじゃ・・・」


え~~~?諦めちゃうのぉ~~?


だれか~、タコの爺ちゃんと孫ちゃんのお散歩を助けてぇ~~!!


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by haruno-urarano | 2009-11-07 12:58 | 日本の絵本

鬼ぞろぞろ

今日の絵本はこちら


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                                 「鬼ぞろぞろ」   
                            舟崎克彦/文  赤羽末吉/絵
                               1978年 偕成社




ある日突然、透明人間になったら、どうしますか?

「世間を騒がす不思議なこと」が、何でもできて・・・

欲しかったあれも、食べたかったこれも、何でもこっそり手に入り・・・

無賃乗車でどこでも行けて、高級ホテルや一流旅館にもぐり込み・・・

銀行ギャングも捕まる心配なんてなく、いやそもそも、お金なんて必要ない・・・

透明人間、なんてステキ・・・!


でも・・・、

透明人間は、存在してても誰にも認められない・・・

いてもいなくても、誰も気にしない・・・

ジブンナンテ ドウセ ヤクタタズ ジブンナンテ ドウセ イタッテイナクタッテ・・・

ふふふ、

透明人間って、まるでダレカサンみたい・・・

透明人間、やっぱりヤかな・・・!

でもやっぱり、ちょっとは憧れる、透明人間。


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今は昔、大晦日の夜おそく、都のほとりを、身分の低い侍が歩いていると、
行く手から、松明を灯した行列がやって来た。近づく影を見ればそれは、鬼の行列であった。
鬼に見つかった男は、もはやこれまでと観念したが、鬼たちは口々に男に唾を吐きかけ、歩み去った。
すると不思議、鬼の唾で男の姿がすっかり消えて、男が家に帰っても、誰一人、男の姿に気づかない。
男は元の姿に戻ろうと、神仏の力にすがるため、三条の六角堂へ出かけ、一心に観音様に祈り続けた。
腹が減ると、参拝客の弁当を盗んで食べた。むろん、誰も気づかない。
男はそのうち、うまいことを考えついた。・・・どうせ見つからないのなら、ひと儲けしてくれよう・・・。
悪さを覚えた男は、またたくまに財宝をためこんだ。あとは観音様が元の姿に戻してくれればいうことなしだ。
そんなある日、男は夢の中で、観音様のお告げを聞いた。
   日が昇ったらここを出よ。そして初めに出会った者のいうことを聞くがよい。
   幸福になるもならぬも、お前次第じゃ。
翌日、男が最初にあったのは、見るからに恐ろしげな牛飼いであった・・・・


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さて男は、悪に落ちてしまうのだろうか。それとも男の本性は、善であるのだろうか。
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by haruno-urarano | 2009-10-18 16:21 | 日本の絵本

こしおれすずめ



今日の絵本はこちら
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                           「こしおれすずめ」 
                      瀬田貞二・再話/瀬川康男・画
                          1977年 福音館書店



              ***** ***** *****  ***** ***** *****

         むかしむかし

         心の優しいおばあさんが 腰の折れたすずめを助けて 熱心に介抱しました。
         すずめの怪我が治ると おばあさんは すずめを自然に放しました。
         しばらくすると おばあさんの所に 助けたすずめがやって来て 
         ひょうたんの種を ひとつぶ 置いていきました。
         種をまくと芽が出て ぐんぐん大きくなり みごとな実が たくさんなりました。
         おばあさんは ひょうたんを村じゅうに配り よその村にも配り
         あまった実を ひさごにするために 吊るして乾かしました。
         なんかげつか過ぎて ひさごを降ろしてみると ずっしりと重いのです。
         ふしぎに思って 口を開けてみると お米がぎっしりつまっていました。
         お米はいくら食べても減らないので おばあさんの家は 富栄えました。

         さて
         この家の隣にも おばああんがいました。でも このおばあさんは 家の者から
         「同じばあさんでも こっちはダメさ」 なんて言われていました。
         おばあさんはクヤシイものですから こっちも腰折れすずめを見つけてやるんだと
         あちこち探し歩きましたが 見つかりません。
         そこで自分ですずめに石をぶつけて 落ちたすずめの腰骨をキッパリと折って
         こうして三羽のすずめを飼うことに成功しました。
         すずめたちがよくなると おばあさんは すずめを外へ放り投げました。
         しばらくすると  おばあさんの所に すずめたちが ひょうたんの種を持って来ました。
         おばあさんは 喜んで種をまき ひょうたんは たいそう大きくなりました。
         ひょうたんの実はあまりなりませんでしたが おばあさんは しぶしぶお裾分けもしました。
         でもこの実を食べた人は まずくてみんな 胸が悪くなりました。
         おばあさんは 「米にならぬうちに食べたせいだ」 と言って 残りを吊るしておきました。
         なんかげつか過ぎました。
         おばあさんが にかりにかり 笑いながら ひさごの口を切ると 
         はち あぶ むかで へびが ぞろぞろと飛び出し おばあさんの 体じゅうを刺しました。
         おばあさんは 二度と立てないほど 重い病のとこに ついてしまいました
        
         とさ。    
      
              ***** ***** *****  ***** ***** *****


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  ちょっとだけ むかしむかし
  うららちゃんは アリさんと大の仲よしで いつもアリさんの遊び相手をしてあげました。
  土を掘って特製アリジゴクを作り アリさんをご招待してあげました。
  でもアリさんは遠慮深くて すぐに出て行ってしまいました。
  アリさんの巣の中に 棒を突っ込んで グルグル回して 地震の避難訓練のお手伝いをしました。
  それから ジョーロで水を流し入れて 洪水の避難訓練も手伝ってあげました。
  でも一番楽しかったのは アリさんと一緒に お医者さんゴッコをしたことです。 
  アリさんはいつも 患者さんをやりたいって言いました。
  でもうらら先生が アリさんを葉っぱのベッドに寝かせても 
  落ち着きのないアリさんは すぐに動き出してしまいます。
  だから先生は アリさんを手か足で ちょっとだけ ベシっと叩いて
  「ピーポーピーポー」と言って 葉っぱの担架に乗せ 病院に担ぎ込み 
  それから 松葉の注射を ブチュっと 刺してあげました。
  たいていのアリさんは しばらくベッドで休むと だいぶ具合がよくなって
  「先生ありがとうございました」と言って ヨタヨタしながら帰って行きました。
  でも中には病が重くて うらら先生でも 救えないアリさんもいました。でも大丈夫。
  そんな時は お医者さんからお坊さんへ早変わりして ナムナムと お経を唱えてあげました。


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  アリさんアリさん
  あれからいったい 幾年が過ぎたのでしょう。
  そろそろ種 もらってもいいのにな。
  呑んでも呑んでも減らない酒の出る 実がなる種でいいよ。
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by haruno-urarano | 2009-09-30 18:59 | 日本の絵本

せんねん まんねん

       今日の絵本はこちら

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                            「せんねん まんねん」
                       まど・みちお 詩/ 柚木沙弥郎 絵
                              2008年 理論社





        まどさん 今年 100歳    柚木さん 今年 87歳
           ふたりあわせて      せんねん まんねん    まだ遠い。


           ねえ まどさん      100年は   ながい みじかい?


           ねえ 柚木さん      まだ 人が  やってこなかったころ
       はるなつあきふゆ は      こういう色   していたのかな。


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               もう 人が     やってきて

            ながいみじかい       ・・・

   

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       ***** ***** ***** ***** ***** *****


           周南市美術博物館


            YUNOKI samiro
        


      ***** ***** ***** ***** ***** *****
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by haruno-urarano | 2009-09-29 22:07 | 日本の絵本

ごんぎつね

今日の絵本はこちら


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                          「ごんぎつね」
             新美南吉 作 / 黒井健 絵    1986年   偕成社




今年ももう こんな季節。 彼岸花の 咲く季節。 


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どうしてこんな 哀しいことに なったのだろう。

ほんの いたずら だったのに。 

小さな こぎつね だもの。 ひとりぼっちの こぎつね だもの。

だけど。 

小さな こぎつね だから。 ひとりぼっちの こぎつね だから。

その後悔は その心より どんなに大き過ぎただろう。    

兵十 お前は なぜ 撃った。

ほんのちょっとの 短気のために どんなに自分を 苦しめただろう。


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人生とは そんな ささいな過ちの 繰り返し だろうか。


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黒井健さんの描く 

優しく美しい 日本の秋の情景に

小さなごんの 哀しい瞳に

読むたび 涙が込み上げる。

どうしてこんな 美しい絵を 描くのだろう。

ご本人にとっても 特別な絵本とのこと。 原画を見てみたい。

  → 黒井健 絵本ハウス


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小学校では何かにつけて、クラスで「劇」をやった。
学期末だ、クリスマスだ、お別れ会だと、とにかくイチイチ「劇」をした。
あれはきっと4年生。「ごんぎつね」の「劇」をした。
自分が何の役を演じたのかは、とんと記憶にない。
「ごん」の役をやったのが、「ネズミ少年」だったことだけ覚えている。
「ネズミ少年」はちっちゃくて、色白で、ほっぺがピンクで、クチャクチャって顔をしていた。
「ネズミ少年」の演じる「ごん」は、とっても滑稽で、楽しかった。
最後に兵十が「ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは。」と言った時、
「ネズミ少年」は顔をクチャクチャにして「チュウ」と言った。ような気がする。
それからはいつも、「ごん」の話を思い出すたび、「ネズミ少年」の顔が思い浮かんだ。
「ごんぎつね」を読んで、涙を流すようになったのは、この絵本に出会えたおかげかも知れない。
ありがとう、黒井健さん。
「ネズミ少年」、君は今、どんな顔をしているのだろう。


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by haruno-urarano | 2009-09-04 23:22 | 日本の絵本

あつさのせい?

今日の絵本はこちら

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           「あつさのせい?」   スズキコージ   1994年   福音館書店 




今年の夏は、あまり暑くなかった。
暑さに弱い私にとっては十分に暑かったけれど、
こんな暑さじゃ物足りないという人は多かったに違いない。
ならばコージズキンで暑さを満喫といこう。

「絵本の魔術師・スズキコージ」の手にかかれば、冬の赤城おろしだって熱風と化す。
キョーフのアツクルシ絵本、「あつさのせい?」。暑いのがダイキライな私の、ダイスキな一冊。
一度入ると抜けられない、被虐的に欲しくなるコージズキンの魔の世界。


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でも私、今年気づいたことがある。
今まで何でも、「あつさのせい」にしてきた。
暑くって何も食べたくない、何もしたくない、
寝てるのが精一杯、ビール飲まなきゃ生きてらんない・・・
でも暑くなくても、やっぱりビールを飲んで、暇さえあれば寝転んでいた。
どうやらこれは、「あつさのせい」ではなさそうだ。

ならば、馬のはいどうさんが駅のホームで帽子を忘れてヒヒンと電車に飛び乗って、
帽子を拾った狐のとりうちくんが自分のイカス姿にうっとりして篭を忘れて、
篭を拾った豚の三吉が風呂の道具が入っていたので風呂へ入ってシャンプーを忘れて、


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・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・

ハンカチを拾った熊ののぶこさんがネッカチーフにして狐のとりうちくんとデートをして、
二人とすれ違ったはいどうさんが、
さっきの狐が被っていた帽子は自分のなくしたのとよく似ているな、
いやいや、あつさのせいでそう見えたんだと、会社に戻って行ったのは、
本当に、
「あつさのせい」だったのだろうか?
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by haruno-urarano | 2009-08-26 16:13 | 日本の絵本

こぶとり

今日の絵本はこちら


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             日本むかし話7 「こぶとり」  瀬川康男・絵  松谷みよ子・文  
                        2003年 フレーベル館



みなさんの知っている「こぶとり」もしくは「こぶとりじいさん」は、どんなお話ですか?


私の昔読んだのは、こんな話でした。

むかしむかし。
ある所に ほっぺに大きなこぶのある お爺さんがいました。
ある日 お爺さんは山へたきぎをとりに行きましたが、雨に降られてしまいました。
木の洞で雨宿りをしていると 外はすっかり暗くなってしまいました。
やがて どっし どっし と足音をさせ
鬼たちが集まってきました。
鬼たちは 洞の中にお爺さんがいるのも知らないで 酒盛りをはじめ
楽しそうに歌ったり 踊ったりしました。
お爺さんは踊りが大好き。自分も踊りたくて仕方がありません。
えい!っと思い切って鬼の前にまかり出て 自慢の踊りを披露しました。
あまりの上手さに鬼は大喜び。
「爺さん 明日の晩も来ておくれ。それまでこれは預かっておくぞ。」
スポン! お爺さんのこぶを きれいさっぱり もぎ取ってくれました。
お爺さんは大喜び。
家へ帰ると みんなに山での出来事を話して聞かせます。
それを聞いた 隣に住むお爺さん。これまたこぶあり爺さん。
こぶを取ってもらおうと 代りに山へ出かけます。
ところが下手な踊りに 鬼は立腹。
「帰れ 帰れ。ほら、預かり物は返してやるぞ!」



一方、松谷&瀬川コンビのこのお話はというと。


「むかしむかし ある所に」
うん、ここまでは同じ。

「ほっぺたに こぶをつけた じいさまが ふたり いてねぇ」
ほう。最初から二人だ。

二人のじいさまは 会うたびに こぶが邪魔だと嘆いておったそうじゃ。
それでついに 神さまにお願いしにいこうや という話になり
米や味噌をしょって 山のお堂に籠もったんだそうじゃ。
すると ある夜のこと。
遠くから 笛の音 太鼓の音 お囃子が聞こえてきたんじゃ。
音はどんどん近くなる。 じいさまたちは おっかねぇよう と震え上がる。
ついに。
ぐわらっ と お堂の戸が開いて 大きな 天狗どもが入ってきた。
とれれ とひゃら すととん・・・
と お囃子ばかりなのに 天狗も飽きてきてねぇ。
「つまらんなぁ、お囃子ばかりで 舞い手がおらん」
「だれか 舞い手は おらんかなあ」
ちょうどそのとき じいさまたちは 天狗に見つかってしまったんじゃ。
「ちょうどいい。 じじい ここへ出て 舞え 舞え」

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まず ひとりのじいさまが つかまった。
じいさまは 怖かったけんど 笛や太鼓が始まると あら不思議。
ひとりでに 手足が上がって お堂狭しと みごとに踊ってみせたのじゃ。
天狗たちは大喜び。だがひとつだけ 気に入らぬ。
「お前の ほっぺたに ついている そのこぶが 目障りでいかん」
あっという間に じいさまの こぶを ぽん! と取ってしまいよった。
さて次は もう一人のじいさまの番じゃ。

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天狗たちが 嬉しそうに お囃子を始めたが
こっちのじいさまは 怖くて怖くて 動けない。
「それ 舞わんかい!」
じいさま 膝はガクガク 腰はヘタヘタ 歯はガチガチ 鼻水も タラタラ。
「なんじゃい。もうちっと 威勢よく やらんかい!」
天狗の怒鳴り声を聞いて じいさま いよいよ縮み上がり
「わぁーん わぁーん」 と 泣き出す始末じゃ。
天狗たちは すっかり興醒め。
「お前のような腰抜けは 二度と見たくないわい」
ぱしっ!
と さっきのじいさまから取ったこぶを こっちのじいさまの 
ほっぺたへ くっつけてしまいよった。
こぶが二つになった じいさまは また「わあわあ」と泣くばかり。
でももう どうすることも できなかったって。
天狗は つまらなそうな顔をして さっさと 行ってしまったとさ。



この絵本は話も面白いけど、瀬川康男さんの描く天狗の表情の変化が何とも可笑しいのです。

実は、私は昔から、この「こぶとり」の話を不思議に思っていました。
なぜなら、私の知っていた話には、「意地悪爺さん」も「欲張り爺さん」も登場しないからです。
昔話というのは、大抵は悪者や意地悪な人が懲らしめられるようにできているのに、
踊りが下手なだけで懲らしめられるなんて、それはあな恐ろしや。

それはさておき。
「こぶとり」の類似物語というのは、世界中に分布しているそうです。
日本では「宇治拾遺物語」に見られ、そこでは「ものうらやみはせまじきことなりとか」と書かれています。
また、江戸初期の「醒睡笑」にも登場しています。

とある絵本作家の講演会で聞いたことですが、最近は昔話を知らない子どもが多いそうです。
その作家は「誰でも知ってる有名な話」のパロディーを作ることを得意としていますが、
元の話を知らぬ子どもの何と多いことか、と嘆いていました。
私も数年前まで学習塾で国語を教えていましたが、
「イソップ物語」を知らない中学生が普通に存在することに驚愕したものです。

元来が口承文芸ですから、昔話に「これが正解」というのはないのかも知れませんが、
一応の基本骨子というものは存在しています。
変化やパロディーを笑えるのは、基本が他にあるからなのです。


さて、現在の私。やはり「こぶとり」には、
他人を羨んだり、欲張ったりするお爺さんは出てこなくていいと思っています。
幸運も不運も、必ずしも因果応報的に現れるとは限りません。
芸は身を助けることもあるでしょう。でも、芸は身の仇なんて言葉もありますしね。
何にも悪いことなんてしてないのに、災難に遭うことだってありますよ。
ま、人生なんて、そーゆーもんですね。


ということで、私の一番共感できる「こぶとり」の解釈は、これですね。


    ・・・この物語には所謂「不正」の事件は、一つも無かつたのに、それでも
   不幸な人が出てしまつたのである。それゆゑ、この瘤取り物語から、日常
   倫理の教訓を抽出しようとすると、たいへんややこしい事になつて来るのである。
   ・・・(中略)・・・性格の悲喜劇といふものです。人間生活の底には、いつも、
   この問題が流れてゐます。            (太宰治「瘤取り」より)
   
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by haruno-urarano | 2009-08-06 17:13 | 日本の絵本