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カテゴリ:翻訳絵本( 19 )

黒グルミのからのなかに

今日の絵本はこちら

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                         「黒グルミのからのなかに」
          文 ミュリエル・マンゴー  絵 カルメン・セゴヴィア  訳 ときありえ
                          2007年 西村書店 


昔、人の寿命を蝋燭の火にたとえた話を聞いたことがあった。
「まんが日本昔ばなし」だったような気もするし、そうではなかったような気もする。
すべての人には、それぞれに寿命の蝋燭があって、
その人の蝋燭の火が消えるとき、その人の命が終わる。

西洋では、よく死神が登場するけれど、
この物語は、スコットランドの民話をもとに書かれた話。

母と二人きりで暮らしていた少年が、ある日、母に告げられた。
自分はもうすぐ死ぬと。死神が自分を連れに来るのだと。

少年は外で、黒いマントに身を包んだ老婆に出会った。
死神が、母の命をひきとりに来たのだ。

少年は死神にとびかかり、鎌を奪い取り、死神をたたきつけた。
たたくたびに死神は小さくなり、最後は少年のげんこつの中に握られるほどの大きさになった。
少年はそれを、足元にあった大きな黒グルミの殻の中に押し込んで、小枝をさしてふたをした。
そしてその黒グルミを、海に向かって放り投げた。
それで少年の母は、死なないことになった。

しかし死なないことになったのは、少年の母だけではなかった。

オムレツを作ろうと卵を割ろうとしたが、卵は決して割れなかった。
それでは野菜スープを作ろうと、畑で野菜を抜こうとしたが、
じゃがいもも、ねぎも、にんじんも、かぶも、どうやっても抜けなかった。
魚を買いに行ったら、漁師たちは、今日は一匹の魚もあがらなかったという。
肉屋は肉屋で、子ウシを殺そうとしたが、うまくいかなかった。
農夫は麦の刈り入れができなくなってしまった。

世の中のすべてのものが、死ななくなった。少年のせいだった。

少年は自分が死神を黒グルミの中に閉じ込めたことを母に話した。
母は、生きているものがもつ、ただひとつの掟を少年に教えた。
すべての命には、終りがある。死神を探し出して、すべてを自然の流れに戻すのだと。

少年は母の言葉に従って、死神をみつけに行った。
カモメに尋ね、カニに聞いて、やっと黒グルミをみつけた。
死神を黒グルミの殻から出して、鎌を死神に返した。
これで命は、自然の流れに戻るようになる。
ただし死神は、少年に自由にしてもらったお返しをすることにした。



昨年、友が突然死した。
蝋燭の火が消えたのか、死神に連れて行かれたのか。今も受け入れられずにいる。
終わらない命がないことは、とっくに知っている。
知っているけど、わかることは難しい。
命が終わるのは、早いか遅いか、時間の問題だけなんだけど。
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by haruno-urarano | 2013-03-21 18:54 | 翻訳絵本

A Small Miracle

今日の絵本はこちら

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                      「聖なる夜に A Small Miracle」
                            ピーター・コリントン
                            2000年 BL出版




寒い冬の朝、おばあさんは家の寝台の上で目を覚まします。家といっても、コンテナのような狭い木の箱のような小屋です。おまけに床は朽ちて抜けています。

粗末な寝台から降り、ストーブに火をつけようとしましたが、もう石炭はありません。パンもミルクもからっぽです。お金を入れておく鍵のついた大切な小箱を開けると、何も入っていませんでした。

おばあさんはアコーディオンを背負って家を出ました。外は一面の雪です。寒いけれど、おばあさんには手袋もありません。

おばあさんは町へ向かって歩きます。今日はクリスマスイブなのです。途中にある小さな教会の中をのぞくと、帽子をかぶったおじいさんが、ちょうど馬小屋の場面の人形を並べていました。

町には人がたくさんいました。モミの木や大きな箱や紙袋など、みんなたくさんの荷物を抱え、忙しそうに歩いています。だからなのでしょうか。カフェのウインドウの前でおばあさんがアコーディオンを弾いても、誰も気づこうとはしません。カフェのお客さんが何度も変わる間、おばあさんはずっとアコーディオンを弾いていました。とうとう疲れて、おばあさんは座り込んでしまいました。カフェのお隣は、質屋でした。おばあさんはゆっくりと立ち上がり、質屋の重い扉を開けました。

アコーディオンを売れば、クリスマスイブにパンとミルクくらいは食べられます。でも、明日はどうするのでしょう?明後日は何を食べるのでしょう?・・・いいえ、おばあさんには、明日よりも今日、今、この時、空腹を満たすことの方が大切なのです。大切なアコーディオンが、たった一枚の紙幣になりました。おばあさんはその紙幣をていねいに小箱に入れると、寒い外へ出て行きました。

その時のこと。マスクで顔の半分を覆ったバイクに乗った男が、おばあさんの全財産をひったくって逃げて行きました。なんということでしょう。でも、どうにもなりません。おばあさんはとぼとぼと、家へ向かって来た道を戻ります。

行きがけにのぞいた教会の前を通りかかると、なんと先ほどのひったくりが教会の献金箱を盗んで出てきたのです。どこにそんな力があったのでしょう。おばあさんは夢中で男に立ち向かい、献金箱を奪い返しました。

教会の中に入ると、馬小屋はめちゃくちゃです。マリアもヨセフも東方の三博士も、生まれたばかりの赤子まで、床に投げ捨てられていました。おばあさんは馬小屋をあるべき姿に戻し、献金箱を馬小屋の前に置くと、静かに教会から出て行きました。

おばあさんは雪の中をよろよろと歩きます。空腹で、おまけにさっき、残っていた全ての力を使ってしまいました。もうこれ以上は歩けません。立っていることさえできません。ばたりと、おばあさんは雪の中に倒れてしまいました。

おばあさんは死んでしまうのでしょうか?
いいえ!もちろん、これからミラクルがはじまるのです。
でも、これは「奇蹟」なんでしょうか?正しい者に起こるべくして起きた出来事のように思えます。
ともあれどんな奇蹟が起きるのか、ピーター・コリントンの表情豊かな絵に、自分でおはなしをつけて楽しみます。(字のない絵本です)

今年もまた、メリークリスマス!

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by haruno-urarano | 2010-12-22 12:47 | 翻訳絵本

きんぎょ


きんぎょいろと おそろいの きれいな 赤いろ 


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窓の向こうも  きんぎょいろ


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今日の絵本はこちら


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                      「きんぎょ」  ユ・テウン 作/木坂涼 訳
                            2009年 セーラー出版







おじいさんは 森のおくの ふるい 図書館で 働いていた。

ある日 ジェジェは おじいさんと一緒に 図書館へ行った。

なかよしの きんぎょを 連れて。



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森はもう セピアいろ。 図書館も セピアいろ。

ジェジェも おじいさんも セピアいろ。

月明かりも セピアいろ。

きんぎょだけ 赤い。





きんぎょに 本を 読んであげていた ジェジェが

ふと 顔をあげると





きんぎょが いない。

あたりはぜんぶ セピアいろ。





でも

きんぎょの しっぽが 見えた。

ちらっと 棚の うえのほうに。




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ジェジェは きんぎょを おいかけた。

もうちょっとで つかまえられそうになったとき





きんぎょが 消えた。

ほこりをかぶった 赤い 本の前で。




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ジェジェは そっと開いてみた。




ふしぎなことが おこった。




       

作者:ユ・テウン
  韓国生まれ。イラストレーター。
  伝統文化を愛する祖父母の家で育つ。
  ニューヨーク在住。




描かれた人物の表情を見て、ああ韓国人らしいと、すぐに思った。
この作風は、伝統文化を愛する祖父母の影響なのか。
それとも外国に暮らす身ゆえのアイデンティティなのか。

凝ったカバーも、表紙の手触りも、きんぎょの色も、
セピア色の絵も、幻想的な話も、
お国柄の現れた個性的な絵も、

どれもこれも好きになった、今年集めた一冊。
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by haruno-urarano | 2010-11-06 16:10 | 翻訳絵本

ハエくん

暑い! 


暑いのはキライ! 


だから夏はキライ!



だけどこの本の主人公は、きっと暑いのも夏もスキ!



イョッ!夏の似合う男!燃えるお兄さん!カッコいいねぇ!




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カッコいい・・・・だろうか。。。





今日の絵本はこちら  


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            「ハエくん」  グスティ・作/木坂涼・訳  2007年  フレーベル館



表紙をめくると、見開きいっぱいハエだらけ!

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わぉ~~、ここは中国~?口を開けばもれなくハエさんがお腹の中へ~??げげーーーーーーーー!

・・・な~んてご心配はご無用ですよ♪

ハエはハエでもこのハエくん、メキシコ生まれの、ラテン・ボーイのハエですからね。

表紙のハエくんも、いかにも楽しげ~な顔でしょう?

そりゃあ楽しいに決まってます。だってハエくん、ずっとこの日を楽しみにしていたのですから!


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ハエくんは今日、泳ぎにいくのです!うきうきわくわく、元気よくお出かけです!

バックには日焼け止めクリーム、ビーチマット、ビーチボールを入れて、完璧です!

泳ぐ前には水のお温度を確かめ、ソレッ、ぴょ~~ん!

大好きな歌を歌って、背泳ぎをして、どんちゃか踊って、ハエくん、何て幸せなんでしょう!




と・こ・ろ・が・・・・



にわかに空が暗くなってきました・・・・

夜になった?いや、星は見えません・・・

突然、かみなりのような音がして、ハエくんの羽がふるえました・・・

傘を持ってこなかったことを後悔して、ハエくんが上を見上げると・・・

そこには・・・・・・!!!!????





この絵本を初めて読んだ時、手がすべって、
うっかり本の最後のページを開いてしまいました。
話のオチの絵を最初に見てしまったので、
ハエくんがどこへ泳ぎに行ったのか、そこで起きている恐ろしい事件が何なのか、
どうしてハエなんか絵本の主人公にしたのか、何も想像することなく、
辿り着くべき結末に向けてはじめからただ、
ゲラゲラゲラゲラゲラと、楽しく読んでしまいました。あまりに可笑しかったので、
「先にうっかり最後の絵を見ちゃって、実に得した」と思いました。
何度読み返しても、飽きることなく笑えます。
そして何度目かに読んで笑った後に、やっと気づきました。
もしも最初にオチを知らずに読んでいたら、どこで初めて笑えただろう。
この場面で、あの場面で、何を想像しただろう。
オチまで何も気づかなかっただろうか。
それともこの絵でわかっただろうか。・・・ああ、何てことだ。
これは何も知らずに、初めて読んだ時にしか、味わえない楽しみじゃないか。
「先にうっかり最後の絵を見ちゃって、実に損した。」

残念ながら、私はこの絵本の初読みの楽しさを経験することができませんでした。
絵本を開くときは手がすべらぬよう、くれぐれも注意しなくてはいけないのです。
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by haruno-urarano | 2010-07-21 10:50 | 翻訳絵本

イワシダラケはどこにある?

AJITOの2階から夕陽を撮った。

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小野竹喬の → この絵 を思い出した。

生誕120年展は昨年から楽しみにしていたけれど、やっぱり行けなかった。
130年展も、あるかなぁ。あってほしい。

ずっと昔、友人と車に乗っていたら、あんまり夕陽がきれいなので、
思わず夕陽に向かって走っていったことがある。
でも、夕陽のありかには、着けなかった。

もっと昔、大学に通う車の中から眺める冬の浅間山がとても好きで、
ある日、大学に行くのをやめて、
浅間へ向かって走っていったことがある。
でも、チェーンがなくて、浅間の雪山までは、行けなかった。

パリで。ある美術館の窓からすばらしく気に入った建物が見えたので、
よしあそこへ行こうと、すばらしい場所へ向かって地下鉄に乗ったことがある。
でも、地下鉄に乗ると景色が見えなくて、この辺だろうと降りた場所からはもう、
あのすばらしい建物は見えなかった。

目的地へは着けなくても、
目的は達成しなくても、
それに向かっていくという、
行為が楽しい。
目的が果たせないことは、
いけないこととは思わない。
楽しみが残っているって、
うれしいじゃないか。
(もちろん念願がかなったら、最高)



今日の絵本はこちら

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          「イワシダラケは どこにある?」 ヴェラ・エッガーマン 作/小森香折 訳
                         2005年  にいるぶっくす



カッコよすぎる表紙が、大のお気に入り。
カッコよすぎるネコたちは、実は冒険家。
ただし「俄か」冒険家。

ネコだって人間だって、好きなものには夢中になる。
好きなもののためなら、冒険だって喜んでする。

「イワシダラケ」
という名の島があるらしい。
缶入りじゃない、生のイワシが山のようにある島らしい。

ネコたちは腹ペコ。
おまけに飼い主はいつ帰ってくるかわからない。
ならばゆこう!
いざゆかん、「イワシダラケ」!


私はコロッケが大好きだけど、
「コロッケダラケ」島があると聞いても、絶対に行かない。
にぎり寿司も大好きだけど、
「ニギリズシダラケ」島があると聞いても、多分行かない。

でも。
「ブツゾウダラケ」島があると聞いたら、何としても行く!
そうか。
私が仏像を好きなくらいに、ネコは鰯が大好きなんだ!


大好きなものを探し求めるネコたちの表情の、何と楽しそうなこと。
冒険につきものの危険に出くわした時の顔が、また何とも愉快。


でも。
所詮は「俄か」冒険家。
というより、腹ペコのネコ。
永遠にイワシダラケの夢を見続けるのかな。
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by haruno-urarano | 2010-05-05 09:17 | 翻訳絵本

ぶた ふたたび

今日の絵本はこちら

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                         「ぶた ふたたび」  ユリア・ヴォリ
                        森下圭子 訳   2004年  文渓堂    



暖冬だなんて油断をさせて、こんな寒い冬には久しぶりに行き会ったよ。
でも今日はポカポカで、ジャンバーを着ていたら暑いくらいだった。
あしたはもっとあったかいんだって。
そんでもってあさってになると、ヤレヤレ、また寒いんだとさ。
困ったもんだね。でもまあ冬さ。


だけどもう、水仙もロウバイも寒梅も咲いてるよ。
そうだ。今年もメジロを探しに行くんだ!楽しみだな!


でも森はまだ、冬枯れ。
冬枯れの森は・・・けっこう好き。
色が少なくて寂しくないかって?


全然。
ほら、こんなににぎやか。

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冬の森をカンバスに、絵本の花を咲かせてみるのは面白い。
森中がポータブル絵本ギャラリーに早変り。
手提げ袋の中に、あれもこれもとギュウギュウに絵本を詰め込んで、
あっちの木の枝、こっちの根っ子に絵本を並べてニタニタ~~ってする。
時々遠くの方に、不思議そうにこちらの様子を伺っている人がいる。
ちょっと怪しい人に見えるのかもね。
あれ、針路を変える人もいるよ。何もしないってば。


この絵本は、冬の森ギャラリーに飾るのに特にぴったりな一冊。
一瞬にして春がきたようになる。なんて明るい春なんだ。
それとも南国かな。


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そう南国。
こんな鮮やかな色を使うのは、きっと南国の画家に違いない。
ところがどっこい。


地球のはるか北の彼方の、フィンランドに生まれた画家が、
ずっとずっと南に暮らす私たちに、
冬というのに、春を届けてくれたんだ。
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by haruno-urarano | 2010-01-19 17:52 | 翻訳絵本

旅するベッド

今日の絵本はこちら

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                               「旅するベッド」
                      ジョン・バーニンガム 作 / 長田弘 訳
                            2003年 ほるぷ出版



子どものころ憧れたことのひとつに、ベッドに眠る生活があった。
もっと正確に言うと、ベッドを半分起こして床に就いたままお食事をする生活に、とっても憧れた。
ベッドに身を起こして温かいスープをすすり、お絵かきをしたりお話をしたり・・・
ああ、今考えても、すっごく素敵。

夢を実現すべく、風邪をひいて学校を休んだとき、
敷布団の下に座布団をいっぱい詰め込んで高くして、
ベッドに身を起こす病がちなか弱き美少女を演じてみた。
だけど。
はかなげな美少女に座布団はやっぱり絵にならないし、背中が平らじゃなくて、寝心地が悪かった。
だからずっと、本物のベッドに眠る生活に憧れていた。

おまけに私は、三度のご飯とお八つと眠ることが大好きだった。
よく「人は一生の三分の一を眠って過ごす」と言うけれど、
私の場合は人生の半分を眠って過ごすかもしれない、それもまた悪くないと思った。
朝目が覚めると、「早く夜にならないかな~。また寝られるのに」と、よく思った(今も思う)。

もひとつおまけに、私はずっと、旅をこよなく愛してきた。
職業は「旅人」でありたいと思ったこともある。

だからつまり、この絵本は私の夢をひとつに集めたみたいな本なのだ!
ベッドの上で眠れて、寝ている間に旅ができる!どこへでも、自由に!!
ああどこへ行こう!どこへでも行ける!!毎晩!!!ベッドに寝ながら!!!!!!!


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そんな夢のような古いベッドを手に入れたジョージー。
でもね、魔法のベッドを使うには、「おまじない」を唱えないとならないの。
おまじないの文句がベッドの頭に書かれているのだけど、もう字かかすれててよく見えない。
最初の字は「M」・・・、えーと・・・最後が「Y」・・・あとは、わかんない!!

「マネー」、「メイティ」、「マミー」、「マーキー」・・・・・・・・・
一日目の夜、ジョージーは色んな言葉を試してみたけど、魔法は起こらなかった。

次の朝、
「月へ行ってきた?アマゾンをさかのぼった?」
家の人にからかわれた。
そうそう、大人ってやつは、たいていそうよ。だから、もう教えるもんか!ね、ジョージー!
二日目の夜、ジョージーはまた魔法の言葉を・・・・

言い当てた!!!!!!!


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長じて私は何年もベッドに眠る生活を体験した。リクライニング・ベッドではなかったが。
今はまた布団に眠る生活を送っている。
そしてやはりベッドが欲しい。
理由は万年床でいられるから。
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by haruno-urarano | 2010-01-05 11:00 | 翻訳絵本

はなくそ

今日の絵本はこちら

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                             「はなくそ」
                   アラン・メッツ 作 / ふしみみさを 訳
                            2002年 パロル舎




小さいころ、家に「鼻血ノート」というのがありました。
ノートといっても、買ってきた立派なノートではありません。
裏の白い広告紙を切って、折って、穴を開けて綴じたようなものでした。
兄はよく、「はなくそ」をほっては鼻血を出していたので、
怒った父親が、ノートに鼻血の出た原因を記録させていたのです。
私もよくノートをチェックしましたが、鼻血の三大原因はおよそ以下のものでした。
 一、「はなくそをほっていて出た」
 二、「チョコレートを食べすぎて出た」
 三、「ピーナッツを食べすぎて出た」
そんな原因でしか鼻血が出ないなんて、実に健全です。

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子どものほる「はなくそ」なら、まあ多少は大目に見てあげましょう。
でも、某人民共和国の大人となると、それは悪意です。
あれは間違いなく武器です、兵器です。
「研修生」という名目で文明国へ忍び込み、講義中に熱心にメモの代わりに兵器を工作し、
殺傷能力の極めて高い毒物をプリントになすりつけ、
「これ、訳しといて」と、何食わぬ顔で私に寄こす。
うぬれ、かようにベトベトなプリントをワラワに寄こすとは、工作員め、宣戦布告か!?
あるとき、ある会社で、ある研修生が、
いつもと同じように椅子にふんぞり返って楽しそうにホジホジしていましたが、
その日は事情があったのか、ピューッっと盛大に鼻血を噴き出しました。
慌てて部屋の外へ駆けて行ったけど、わかってるわよ。そうやって何か報告しに行ったんでしょ?
鼻血が止まって部屋に帰ってきたら、さっそくホジホジ。どうやら再工作命令が出たようです。
最近は工作員と直接接触する仕事からはほとんど足を洗い、
おかげで命の危険にさらされることも少なくなりました。
が、ときどき、デジタルで送れない資料や書籍の現物が宅配で届くと、
ああ、相変わらずベトベトしてるよな~と、人差し指と親指でつまみながら、ページをめくる私です。

さてこの絵本は、そんな「はなくそ」を武器に、悪と闘うブタのお話(「おなら」の術も使うよ)。
このブタがまた、いつも汚れていて、ハエがブンブンしてるんですって!
ブタくん、、「はなくそ」と「おなら」で憧れの彼女を救い出し、みごとハートを射止めることができるのか!?

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アタシハヤッパリ・・・・ジブンデツヨクナル! ハナクソオコトワリ~~!
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by haruno-urarano | 2009-09-17 22:22 | 翻訳絵本

もりのなか

今日の絵本はこちら

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                           「もりのなか」 
               マリー・ホール・エッツ 文・絵 / まさき るりこ 訳
                         1963年 福音館書店



きのう、「森ガール」という言葉を初めて知った。

森にいそうな女の子?

クマみたいな、毛むくじゃらで逞しそうな女の子かな?

「蒼井優」、「宮崎あおい」・・・みたいな人らしい。

蒼井優?知らないや。

宮崎あおい?

最初、「宮里藍」と間違えた。やっぱり逞しい子のこと?

でも、クマさんとは、ちょっと違うよ~?

ああ、「宮崎あおい」って、大河ドラマに出てた子だ!

なるほど!おサルさんみたいな女の子のことね。

最近はおサルさんが人気なんだ。可愛いもんね、リスザルなんて大好き。



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サルなら森にいて 不思議はない。

宮崎あおいが森にいるのなら 森にゾウやカンガルーがいても おかしくない。

少年は 森で いろいろな動物と遊んだ。 

その森は モノクロームの森。

色は自由につけていい。



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森で ライオンたちと かくれんぼうをした 少年も

やがて 森で 赤ずきんを 見つけるだろう。

もっと 時がすぎて 冬のように枯れるころ

元少年は 森で 何を見るだろう。


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その森は どんな色に 育っているだろう。
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by haruno-urarano | 2009-08-22 09:58 | 翻訳絵本

おじいちゃんがおばけになったわけ

今日の絵本はこちら

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                 「おじいちゃんがおばけになったわけ」
           キム・フォップス・オーカソン 文 / エヴァ・エリクソン 絵
              菱木 晃子 訳   2005年    あすなろ書房




大好きなおじいちゃんが 突然いなくなってしまいました。
心臓発作で 道でたおれて 死んでしまったのです。
悲しくて悲しくて エリックはたくさん泣きました。



おじいちゃんのお葬式があった夜のこと
エリックの部屋に おじいちゃんが現れました。
たんすの上にすわって ぼんやりしていました。



どうやらおじいちゃんは おばけになったようです。


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でも 「おばけの本」を調べると
「この世にわすれものがあると 人はおばけになる」
と書いてありました。


いつまでも おばけのままでいるわけにもいかないので
おじいちゃんとエリックは わすれものを探しに出かけました。


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おじいちゃんの家で 懐かしい写真を見ると 
おじいちゃんは いろんなことを思い出しました。


あにきからもらった 赤い自転車。  
おばあさんとの はじめてのデートとキッス。
庭でとれた イチゴの味。  


でも おばけになった原因のわすれものは そんなことじゃないようです。



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別の晩、ふたりは町に出てみました。
おじいちゃんは いろんなことを思い出しました。


体育館でボクシングを見たこと。  
友だちと酒を飲みすぎたこと。
空き瓶に手紙をいれて 海に流したこと。


でも おばけになった原因のわすれものは そんなことじゃないようです。


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別の晩、おじいちゃんはエリックの部屋の たんすにすわって
にこにことしていました。
そしてエリックとふたりで ふたりの楽しい思い出を語り合いました。


遊園地で目がまわるまで ジェットコースターに乗ったこと。
エリックがサッカーをしていて 庭のチューリップをだいなしにしたこと。
映画のとちゅうで ぐうぐうねちゃったこと。
おじいちゃんがこっそり歌う 「おしりのうた」がおもしろかったこと。


おじいちゃんは やっと思い出しました 何をわすれていたかを。


でも もう おじいちゃんの目は 笑ってはいませんでした。


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おじいちゃんの わすれものは






いちばんだいじな 孫のエリックに






「さよなら」 をいうのを わすれていたことでした。







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by haruno-urarano | 2009-05-06 14:47 | 翻訳絵本