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せかいのはてって どこですか?

今日の絵本はこちら。

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 「せかいのはてって どこですか?」
  文/アルビン・トゥレッセルト
  絵/ロジャー・デュボアザン
  訳/三木 卓
  1995年 童話館出版










「世界の果てってどこ・・・?」
表紙のカエルの表情も、この題名も
何やらニヒルな哲学者の匂いがする・・・

「井の中の蛙」は、ひとりぼっちでも十分にしあわせに暮らしていた。

だって「井の中」は とても素敵なんだよ。
透きとおった水があって、青空の天井があって、
夜にはお月さんが ウインクしてくれる。
マヌケな虫が 井戸の中に飛び込んでくれるから、
ご馳走だって食べ放題さ。

だからカエルにとって
ここが世界、世界の全てさ。

でもある時、井戸の水が枯れてしまった。
飛び込んで来てくれる虫も いなくなった。

私なら、お腹が減って外に出ただろう。
でもカエルは、哲学者だった。
 
  「まだ はねる力のあるうちに
     せかいのはてを 見ておいた方がいい」

世界の果て、つまり井戸の外にやって来た。

じゃあカエルはもう、世界の果てを見たかって?

牛に出会った。牛に聞いた。
「きみは せかいのはての いきものかい?」
牛は言った。
「とんでもない。ここはせかいよ」

鳥に出会った。鳥は言った。
「せかいのはては りくのおわるところさ。とてもとおい」

鹿やキツネやリスや熊たちに聞いた。
「このもりが とてもすばらしい せかいだ」

世界はどんどん面白くなる。
カエルはもっと 見たくなった。

そのとき 雨が落ちてきて
たくさんの カエル達の鳴き声を聞いた。

カエルは自分の井戸を思った。
雨が降ったから、井戸の水もいっぱいになったはずだ。

でも たくさんのカエルたちの
美しい合唱が聞こえてくる。

カエルは 強く飛び跳ねた。
今までで 一番大きく 飛び跳ねた・・・。

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世界の果てって どこだろう?そもそも世界って どこだ?
裏表紙の絵を見て
「井の中の蛙」もしあわせそうだと思う私は
ただの「満足したブタ」なのだろうか・・・
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by haruno-urarano | 2007-07-15 13:54 | 翻訳絵本

たべられたやまんば

今日の絵本はこちら。
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           瀬川康男・絵 / 松谷みよ子・文  2002年  フレーベル館



瀬川康男さんと松谷みよ子さんの名コンビによる「日本むかし話」シリーズです。

「三枚のおふだ」と言った方が、親しみがあるように思います。
そう、あのお話・・・。

山寺の小僧さんが、山奥で知り合ったお婆さんの家に遊びに行きます。
和尚さんが「やまんばにちがいね、行くな」と言うのも聞かずに。

優しかったお婆さんは、夜中になると恐ろしいやまんばに・・・。

裏表紙のやまんばの姿。
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元祖「口裂け女」ですね。こんなのに追いかけられたらコワイですよ~!

助かるのはわかっているのに
小僧さんが捕まりやしないか、ハラハラ。
小僧さんの危機というのに、「まてまて」と
なかなか門を開けてくれない和尚さんに、ヒヤヒヤ。

和尚さんののんびりした挑発に乗って、やまんばは・・・。

 ***** ***** *****
日本のむかしばなしには、度々やまんばが登場しますよね。
おっかなくって、おっそろしくって。だけど
やまんばの出てくる話は 大好きでした。

特に好きだったのが、この「三枚のおふだ」、特別な思い出があるからです。

むかしむかし、子供の本にはよく、ソノシートのレコードが付録についていました。
「ケロヨン音頭」とか、「うめぼし殿下」の歌は、きっと幼稚園レベルでしょうね。

小学生ともなれば、「おはなしソノシート」です。
まだテレビの「まんが日本昔ばなし」もなかった頃。レコードも高価だった頃。
ペラペラのソノシートから聞こえてくる軽快な音楽と語りに、
日本の高度成長期の庶民のお子様は、どれだけワクワクしたでしょう。

中でも「三枚のおふだ」は大傑作でした。
故・宇野重吉さんの大ファンだった子供は、きっと私だけじゃなかったはず。
おふだが便所の中からやまんばに叫ぶ
「まだ出るウンコ ダイヅチコラショ」
というセリフがおかしくて、おかしくて。この部分ばかり聞いていました。

大好きな話だったので、紙芝居をつくり、
祖父母や叔父叔母の前で披露したことがありました。
当時20代前半だった一番若い叔父が大喜びしてくれ、
いつまでもいつまでも、30年以上経った今でも、
時々「まだ出るウンコ」の話をするのです。

つまり・・・
これが、昔ばなしや物がたりや絵本の、真の役割なのでしょう。
たくさんの、温かい記憶をつくること。
話の中身は忘れても、古い思い出は、いつまでも残ります。
寝かせるほどに、深くまろやかに・・・。
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by haruno-urarano | 2007-07-08 16:27 | 日本の絵本

ひとのいいネコ

今日の絵本はこちら。

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  「ひとのいいネコ」
 田島征三・絵 / 南部和也・文
  2001年 小学館







ネコと言えばフツー「気まぐれ」「わがまま」に決まってますがニャ。
「ひとのいいネコ」・・・なんているかなぁ~?

ところがいるんです、ここに。

名前は「ホルス」、
困っている人を見ると助けずにはいられない、
「水戸黄門」のようなネコなのです。

お年寄りネコにはネズミを捕ってあげ、
妊婦ネコにはセッセと魚を運んであげる、
模範的ネコちゃんです。

そんなホルス、ある日森の中で、行き倒れているノミを見つけました。
「おなかがすいて、しにそうです。少しだけ、あなたの血を・・・」
弱々しいノミの声に、
「それはお困りでしょう」と、背中を差し出すホルスです。
おまけに
「礼にはおよびません。ボクは人助けができれば嬉しいのです」
とは、「水戸黄門」の見すぎじゃないの~?

一命をとりとめたノミは、たまごを十個生みました。

一ヵ月後、
ホルスは森でお腹をペコペコにしている、あのノミと十匹の子ノミに会いました。
人助けの好きなホルス、
「少しずつなら、いいですよ」

また一ヵ月後、
ホルスは森で、腹ペコのあのノミと、
十匹の子ノミと、百匹のまごノミに会ってしまいました。
「そ、それはお困りでしょう。ひと口だけなら・・・」

そしてまたまた、一ヶ月経ちました。
ホルスは森で、しにそうなくらい腹ペコの、
あのノミと、十匹の子ノミと、百匹のまごノミと、千匹のひまごノミに・・・

この時のホルスの顔ったら!!
どうする、ホルス・・・?

さんざん笑いながら、「親切とは何か」について、ちょっぴり哲学しちゃいます。

絵本のカバーに、こんなシールが貼ってあります。
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・・・私ならどうするかって?
そりゃ初めから「プチッ」とするに決まってますがニャ。
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by haruno-urarano | 2007-07-03 11:43 | 日本の絵本