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おりこうねこ

今日の絵本はこちら。

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  「おりこうねこ」
 ピーター・コリントン 作・絵
  いずむら まり 訳
  2000年 徳間書店 








褒められて嬉しいのは、子どもだけじゃないでしょ?
大人だって同じだし、だから、ねこだって同じ!

ねこのシマシマは、毎朝毎朝、飼い主さんがご飯をくれるのを待っているんだけど、
この家の人はね、みーーーんな忙しいの。

「どいて、どいて!」
「あとでね」
「じゃま、じゃま!」

こんな言葉ばかり投げかけられて、挙句の果てには・・・

「ごはんくらい、自分でしたくできないのかしら、ぐうたらねこねえ」

・・・こんな家で飼われるくらいなら、私だったらノラ猫を選ぶね!

そんなシマシマも、ついに我慢できなくなって、

とうとう・・・

自分でキャットフードの缶詰を開けて食べ始めたの!!

飼い主一家の驚きの顔!

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「こんなにおりこうだったなんて」 「すごい!」 「おりこうだこと」

シマシマへの評価は一変したのです。

おりこうになったシマシマは、キャッシュカードを渡されて、自分で買物をしました。
近所の人たちも、おりこうなシマシマに感心することしきりです。

シマシマはシマシマで、褒められて自信とやる気が満々です。
もう今までみたいな、猫背のねこじゃ~ないよ!
背筋もピーンと伸びちゃって、昼寝しかすることのない他のねこを見下ろします。

レストランでお食事・・・
今まであんなまずいキャットフードを食べてたなんて!!

ショッピングでしょ、映画鑑賞でしょ、ゲームでしょ、テニスでしょ・・・
こんな楽しい暮らしがあったなんて!!

昼寝なんて、ぐうたらねこのすること。時間のムダさっ!!

と・こ・ろ・が・・・

ある日シマシマは、飼い主さんからキャッシュカードを取り上げられてしまったのです!
それだけではありません。シマシマがおりこうなことを理由に・・・

「今まで使ったお金は返してもらうよ」
「部屋代も払ってもらうわ」
「仕事を見つけてきてちょうだい」

シマシマは働きました・・・
朝から晩まで。クタクタになるまで。休みもせずに。。。
疲れて家に帰っても、自分でご飯の支度をして、片付けもしなくてはなりません。

稼いだお金は、飼い主さんへの支払いを終えると、キャットフードを買えばもう終わりです。

シマシマは疲れて疲れて疲れて・・・
ついに寝坊をして、仕事をクビになってしまいました。

なのに飼い主さんは、
「別の仕事をさがすんだね。もっとかせいでもらわなくちゃ」

シマシマはさめざめと泣きました。

そして家の外に出てみると・・・
他のねこたちが、のんびり昼寝をしていました。

シマシマは
「ほんとうのおりこう」
に、やっと気づいたのです・・・。

良い子のお友だちのみなさん!
「おりこうね」、なんていう大人の言葉の罠にはまらないように。
良い子の大人のみなさん!
「君には期待しているよ」、なんていう上司の言葉の罠にはまらないように!

さあ、このシマシマの教訓物語を読んで、
「ほんとうのおりこう」に、なりましょうねっ!!
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by haruno-urarano | 2008-02-23 16:20 | 翻訳絵本

ひとつだけの贈りもの

今日のお話はこちら。

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            「きん色の窓とピーター」 藤城清治・影絵/香山多佳子・お話し
                      昭和59年 暮らしの手帖社

            より、「ひとつだけの贈りもの」


時々どうしても読みたくなるおはなしのひとつ。
特に疲れている時、何もかもが嫌になった時、そんな時、こんな時、読んでみる。

夫を亡くした若い母親は、生まれたばかりの息子、アウグスッスの名付け親の老人に、
「子どものために、ひとつだけ贈りものをしようと」言われた。
今夜、老人の部屋からオルゴールの音が聞こえてきたら、
子どもの耳元で、ひとつだけ願いを唱えなさい、そうすればそれは叶えられると。

たったひとつだけ・・・
大金持ちになること? 世界一美しくなること? だれよりも利口になること?
・・・母親はあれこれ考え疲れ、うとうと居眠りしてしまった。

オルゴールの優しい音に、はっとして目を覚ました。
うろたえているうちに、音は徐々に消え始めてゆく・・・

「坊や、みんながお前を愛さずにはいられないように。
だれからも愛される子になるように・・・」

母親は祈るような思いでささやいた。

・・・・願いは叶い、
利口で美しいアウグスッスは、だれからも愛される少年となった。

だが・・・

アウグスッスは愛されるだけで、愛することを知らない、傲慢な人間へと育っていった。

愛されても愛されても、楽しささも喜びも感じることのできないアウグスッスの心は、
やがて虚しさでいっぱいになった。何のために生きるのか、わからないのだ。

そんなアウグスッスの選んだ道は、毒薬を飲むことだった・・・・。

ぶどう酒の中に毒を入れ、さあ飲もうとしたときだ。

名付け親の老人が、アウグスッスの前に現れた。

母親の願いはアウグスッスのためにしたものだったが、それは母の願いであった。
母の願いは叶ったが、アウグスッスのためにはならなかった。

「もう一度、自分で願うとしたら、何を望むかい?
もう一度だけ、その願いを叶えてあげよう」老人はそう言った。

「ああ、ぼくが人を愛することができるようにしてください!」
アウグスッスは泣き叫んだ

・・・その日から、アウグスッスの全てが変わった。

花は美しく、小鳥は愛らしく、子どもも年よりも、何もかもが愛おしい。
だれにでも親切にせずにはいられない。
どんなことにも驚きや喜びを感じる。
心があたたかく燃えているのが、自分で感じられた。

けれど、変わったのはアウグスッスだけではなかった。

もうだれひとりとして、彼を愛する者はいなくなった。
アウグスッスはだれからも相手にされず、乞食のように変わり果てた。

結末は・・・・

この絵本、
または原作であるヘッセの短編童話集『メルヒェン 』の中の「アウグスツス」をどうぞ。

「愛される」と「愛する」。
ふたつのうちのひとつしか叶わないとしたら・・・
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by haruno-urarano | 2008-02-07 23:20 | おはなし