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こどものとも復刻版

古本で「こどものとも復刻版 創刊号~50号」を手に入れた。

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           こどものとも復刻版(創刊号~50号) 1989年 福音館書店


4冊欠けているのだけれど、値段も安かったので、思い切って買ってしまった。

ちょっと開いて、わくわく。

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ここまで開けると、どきどき。

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「こどものとも」の月刊本は、自分の子どもの頃にはあったけれど、
大人になるまで触れた記憶がない。今も特に意識して見ることは滅多にない。
ハードカバーになって出版された絵本は随分読んでいるし、持ってもいるけど、
特に「こどものとも」だから選んでいるわけではない。
だから、4冊欠けている復刻版でも、さほど気にせず購入した。


だけど、46冊をど~んと広げてみたら、
ひどく興奮。

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もう、やられてしまった。
今は4冊欠けているのが、口惜しくてたまらない。

第1号の表紙、この一冊だけで、もうノックアウトされてしまった。

創刊号から50号までは、自分の生まれる前の時代。
今もハードカバーで手に入る数少ない絵本を除いては、はじめて目にする絵ばかり。
1956~1960年までの、レトロ感あふれる作品ばかり。
大好きな世界だったのだ。

なんと!
「ぞうのたまごのたまごやき」も「おしゃべりなたまごやき」も、
ハードカバー絵本とは絵が違うんだ!
以前、赤羽末吉の生誕100年展で、「スーホーのしろいうま」の絵が違ったのを見て驚いたが
(そして前の絵の方が好きだと思った)
なんだ、そういう本が、けっこうあるんだ!

欠けている4冊の中に、これは見たかった!と思う号があって本当に残念。

次の51~100号も、見たい本がたくさんある。
なんと90号は、北杜夫が話を書いている!!!これは絶対買わなくちゃ~。
でも正規の新書価格は高くて買えない。お金をためて、また古本を探すぞ!


福音館こどものとも復刻版の内容は → こちら
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by haruno-urarano | 2013-07-01 10:36 | 日本の絵本

十五夜お月さん

きょうの本はこちら



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                    「十五夜お月さん」 野口雨情・著
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                         大正10年6月 尚文堂・発行
                         1993年8月 ほるぷ出版・復刻
                          
        


              



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うさぎの絵の描かれた張函入り。

20歳前後のころ、一番好きだった童謡作詞家は雨情でした。
童謡にとどまりません。「船頭小唄」だって歌えました。
ためしに今、歌ってみました。 ♪お~れはか~わらの枯~れすすき~・・・・♪
まだ全部歌えました。若い頃に覚えたものは忘れませんね。
雨情の故郷、北茨城へも行きました。
雨情だけでなく、北原白秋も西条八十も大好きでした。
もちろん高畠華宵には目がありませんでした。
とにかく、「大正ロマン」や「赤い鳥」に関するものは、何でも好きでした。
大正ロマンの音楽を集めたカセットテープも持っていました(当時はまだレコードとカセットの時代でした)。
自分も大正時代に生まれたかったと、真剣にそう思いました。
もし大正時代に生まれていても、きっと貧乏な家の子どもで本なんて買って貰えなかったろう。
なんてことは絶対に考えませんでした。

今は雨情より、白秋の方が好きかもしれません。
ほんと言うと、比べられません。でも白秋の、
「あかいとりことり なぜなぜあかい あかいみを たべた」
この一曲、この一曲が、涙が出るほど、いとしいのです。

でももうすぐ、今年も十五夜だから、今日は雨情が好きです。

今年の十五夜は10月3日、土曜日です。
どうかお月さんが、見えますように。
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by haruno-urarano | 2009-09-09 18:53 |

浦島太郎

今日の絵本はこちら

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                        「浦島太郎」
         中谷宇吉郎・文 / 藤城清治・影絵 / 松本政利・写真
                    昭和26年 暮しの手帖社 発行
                   平成15年 暮しの手帖社 復刻





「ほうら。おりこうさんは、もう寝る時間だよ。」
「いやだ、いやだ。 お父さんがお話してくれなくちゃ、寝ないんだもん。」
「仕様がないねえ。ではひとつ、お話しようか。さて、何のお話にしよう。」
「浦島さんがいい。ほら、ぶくぶく、ぶくぶく、ぶくぶく・・・・って。」
「よしよし。じゃあ、ぶくぶく、ぶくぶく・・・・にしようね。
 ほうら、お布団におはいり、いい子だね。」
「はーい。わあ~、お布団、あったかいねえ~。」

                 

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・・・・・そんな会話をしながら、子供たちを寝かしつけたのかなあ。
中谷宇吉郎博士だって、お家の中では普通のお父さん。
このお話は、中谷博士が子供たちを寝かしつける時に
よく話してきかせたものでした。
元の昔話のままだと短すぎるので、なるべく長くひっぱって、
だらだら、だらだらと、話を引きのばして聞かせたそうです。

どんなふうに、だらだらお話したのかな・・・


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むかしむかしあるところに、浦島太郎さんという人がいたんだって。
知ってるでしょう、浦島さんというのは、お魚をとる漁師なんだね。
漁師って、おうちは海の近くにあるんでしょう。
だから浦島さんのおうちも、海の近くにあったのね。
海のところには、白い砂浜があるでしょう。
砂浜って、平らな白い白い砂がずっとつづいてる砂浜なのね。
その白い砂の砂浜を、どんどん歩いて行くと・・・・・・



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・・・ほうら、
とっても気持ちがよくなってきたでしょう?
こんな優しい言葉でお話してもらえたら、
どんなに幸せな夢が見られるかなあ。



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自分で声に出して読んでいても、とっても気持ちがよくなって、
だんだん眠くなってくるんだよ。


ぶくぶく、ぶくぶく、ぶくぶく。
ぶくぶく、ぶくぶく、ぶくぶく。
・・・・・・・・・・・

おまじないじゃないよ。
浦島さんが亀の首につかまって、海にもぐっていくところだよ。
中谷博士のお子さんたちは、たいていこの
「ぶくぶく、ぶくぶく、ぶくぶく」
のあたりで八分通りは眠ってしまうのだって。
だからそのあとは、声を小さく小さくして、
いつまでも、いつまでも
「ぶくぶく、ぶくぶく、ぶくぶく、ぶくぶく、ぶくぶく、ぶくぶく・・・」
と言っていると、すっかり寝込んでくれるのだって。
そんな時はしめしめと、お話はそこでおしまい。
だけど、いつもそううまくいくとは限らないのね。突然、
「まだもぐるの?」
と、聞かれることがあるんだってさ。
そういう時には、仕方がないからお話の先を続けるのだってさ。



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この絵本が最初に出されたのは、
戦争が終わって、まだそんなに経っていないころのことでした。
藤代清治さんが「暮しの手帖」に影絵の連載を始めたのは昭和23年、
24歳の時でした。
当時はまだ、白黒写真だったのですね。

本のあとがきには、中谷さんと藤城さんと松本さんが、
影絵を撮影している貴重な写真が掲載されています。


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冷たーい雪の研究をした中谷博士ですが、
ぽっかぽかに温かいお父さんだったのですね。



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ぐう、ぐう、ぐう・・・


・・・おや?
みんな寝ちゃったの?

よしよし、いい夢見てね。
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by haruno-urarano | 2009-05-22 22:33 | 日本の絵本

つきのぼうや

今日の絵本はこちら

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                           「つきのぼうや」
                      イブ・スパング・オルセン 作/絵
                          やまのうち きよこ 訳
                          1975年 福音館書店


もうすぐ仲秋の名月だから、お月さまのおはなし。
息の長い人気絵本なので、親子二代でファンという方も、きっといるはず。

 ***** ***** *****
夜空にのぼった お月さま。
ふと下を見ると 
おや。
池の中に もう一人の お月さま。

ともだちに なりたいな。

そうだ。つきのぼうやを 呼んで
あのお月さまを 連れてきてもらおう。

つきのぼうやは元気よく 
かごを提げて 出かけて行きました。
途中で おっと お星さまを けとばした。
流れ星。

もう一人の お月さま どこにいる~?

凧? 風船? ボール? りんご?・・・
お月さまには 似てるけど
ちょっと違う。

とうとう つきのぼうやは
水の中に ぱしゃーん!

おや?水底に キラキラ光るものがある。
これなあに?
・・・それは女の人が落とした手鏡・・・

つきのぼうやが 中を覗くと
「わあ なんて かわいらしい おつきさまだ!
さあ つれて帰ろう!」

いそいそと お空の お月さまのもとへ

お月さまは 水の中からの お客さまを見て
「なんと りっぱで うつくしい かただろう!」

すっかり気の合う ともだちができて

お月さまは とても しあわせ 

ですって。

 ***** ***** *****

ふふふ。お月さまって、ちょっとナルシスト?

さて。
この絵本は、オルセンさんの国、デンマークで1962年に初めて出版されました。

縦34cm、横13cmという、ちょっとスリムな形の本です。
絵もおはなしも、もちろん魅力的だけど、
このスラリとした変わったサイズも、この絵本の好きなところです。

で・も・ね!
びっくりしたの!

初版の原本は、ぽっちゃりタイプの天綴じ本だったのです!!
これがその、初版の複刻本。

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ね?ぽっちゃりしてるでしょ?

複刻元は・・・はい、おなじみですが、「ほるぷ」です。
1994年、「原本ほるぶ世界の絵本第15集」の中の一冊です。
このセットを「買う!」と決めたのは、この「つきのぼうや」ショック!のため。

スリムタイプの本がずっとお気に入りだったのに、
元は天綴じだったと知った時は、かなりショック~!でした。

だって、
ぼうやが月から下に降りてくるわけでしょ?
それならやっぱり、横にめくるのじゃなくて、縦にめくるのが本当じゃない!

なぜ天下の福音館が・・・?って、
いえいえ、福音館書店が版を変えたのではありません。

これはデンマークの出版社側の事情で(どんな事情かは知りません)
左横綴じの縦長本に変えられて、初版のタイプは絶版になってしまったのです。
こんな話を知ってしまって、私が買わずにいられるワケないでしょっ。

本を開いたところを並べて比べてみると、こんな感じ。

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もひとつオマケ。間違いさがし~~?

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今年の十五夜お月さんは今度の日曜日。
お月さん、見えるといいな・・・今日の週間天気予報じゃ曇りだった。

お月さんの中にいるのは、だ~あれ?
え?つきのぼうや?

う~~ん。。。わたしは、これかな。

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日本人だもん~♪
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by haruno-urarano | 2008-09-08 22:18 | 翻訳絵本

たべるトンちゃん

今日のお話はこちら

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                   「たべるトンちゃん」 初山滋
           原本:昭和12年 金蘭社/複刻:1993年 ほるぷ出版


日本の児童文学史を語るのに
欠かすことのできない童画家の一人、初山滋(明治30年ー昭和48年)。

奔放で反骨な精神を貫いた 江戸っ子の画家は
一方で 大変な食いしん坊でも あったそうだ。

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してみると 食いしん坊のブタの トンちゃんは
初山滋 その人だろうか・・・

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あけて みよう

古今東西、ブタというのは食いしん坊と決まっている。
それにしても トンちゃんの食欲は 異常すぎやしないか?

食べられるものなら なんでも食べたい
その気持ちは わからないでもないが。

ストーブの奴が 「この石炭は なかなか うまい」と つぶやけば

トンちゃんは 次の瞬間には もう
ストーブに化けて 石炭を食っているではないか。

シャボン玉だって 車に入れるガソリンだって
実にうまそうに 食う。

小鳥が鳴けば それは こんな歌に聞こえる。
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みんなが 自分に餌を与えるようにと
なんだかわからぬ 動物にも化けてみた。
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実は 努力するブタ、トンちゃんなのである。

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トンちゃんは 夢だって たくさん 見る。

お魚の親子が 相談している。
 「日曜日だから だれかの お腹の中へ ハイキングとしよう」
 「トンちゃんの お腹へ行こう」
それを聞きつけたウナギも
 「拙者もお伴したい」

すてきな 夢だね。

でもトンちゃん。
あんまり食べすぎるとね・・・
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ふとるんだよ。。。。。

よく太った ゾウカツより トンカツ うまそうだ
うりますよ ねだん よく

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 ***** ***** *****

昭和の12年。、7月に日中戦争が勃発しました。
その年の12月には、まだこんなナンセンスな児童書が出せたのです。

軍部が戦争を正当化するための宣伝や言論統制を行い、
田川水泡の「のらくろ」がベストセラーとなりました。

翌年から言論への圧力が厳しさを増す前の、
ぎりぎりの出版だったと言えるでしょう。

初山滋は戦時中、戦争を推進する国策には全く協力をせず、
仕事をほとんどしませんでした。

この、滑稽で無意味で大らかな児童書は、
食べることを愛した初山の、皮肉と反骨の精神から
生まれたのかもしれません。

何十年という時が流れ、
私たちはこの本を
ただ読んで、ただ笑うことができるのです。

 ***** ***** *****

私の持つこの本は、
ほるぷ出版による「名著複刻シリーズ」の中の一冊ですが、

2005年には「 よるひるプロ」という所から、復刻書が出版されました。
一冊2,415 円というお手頃価格です・・・
私はセットで十数万円モシタンダゾ~~(T0T)
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by haruno-urarano | 2008-07-06 18:47 |

王様の背中

今日のお話はこちら。
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             お伽噺「王様の背中」  内田百閒作/谷中安規・画
             原本:昭和9年 楽浪書院/複刻:1993年 ほるぷ出版

本日4月20日は内田百閒の忌日です。そこで私の「宝物本」のひとつをご紹介。

学生時代、大正~昭和初期の児童文学マニアでした。
その頃ほるぷから、「赤い鳥」の複刻書が出ました※
大学の図書館で見つけ、すぐに欲しくなり、書店に問い合わせると・・・
「セット売り、36万円です」
「バラ売りはいたしません」

学生のバイトの時給が500円かそこらの時代でした。
もちろんローンなんて、考えられません。
在学中は「禁帯出」の本を、ため息をつきながら眺めていました。

そして今日のこちらの複刻書。もちろんセット販売です。

実は先に好きだったのは、谷中安規の方でした。
幻想的な作品を得意としながらも、不遇のうちに戦後、餓死した画家です。
内田百閒に愛され、作品の挿絵を手掛けたりしていました。
そのひとつがこの本です。

当時はとっくに社会人、それに「赤い鳥」の1/3の値段でした。
それでも10万円を超える書籍ですよ。ちょっと勇気がいりました。
でも、「赤い鳥」のように、逃がしたくはありませんでした。
だからこれは、たとえ複刻であっても宝物。

さて、古今東西、色んなお伽噺や昔話がありますが、
実はこれがなかなかのクセモノで。
教訓やら、勧善懲悪やらと、純真なお子様に
思想教育を垂れようなんて魂胆が隠れていたりするもんです。
大人というもんは、なかなかコザカシイ生き物であります。

ところが、我儘育ちの百閒先生は、フツーの大人と違います。
このお伽噺には、な~んの教訓なんかも隠れていません。
良い子のみなさんも、安心して手に取ることができますよ。
この通り、百閒先生が「序」の中で保証ずみです。
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ではお伽噺の中から教訓を取り去るとどうなるか・・・?
それはそれは摩訶不思議、
のんびりと、かつシュールな百閒童話の出来上がり、なのです。
安規画伯の、昭和初期とは思えぬようなファンタスティックな版画つき。
当時のお子様は、一体どんな幸せな気持ちでこの本を手にしたことでしょう。
・・・もちろん、手に出来たお子様は、ほんの少数だったでしょうが。

この本には全部で9つのお話があります。
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表題作の「王様の背中」は、
背中が痒くて痒くて痒くてたまらなくなってしまった王様のお話。
魚を見れば、「もし魚の背中が痒くなったら、どうするのだらう」
と考え、背中だけでなく全身が痒くなってしまう王様。
鳥を見ても亀を見ても、みーんな背中が痒いように見えて
身体をもだえる王様・・・のお話。

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じゃ、百閒版「桃太郎」はどんなお話かって言うと。

主人公は、桃太郎の生まれた後の、桃を盗んで行った猪なのさ。
何しろお爺さんもお婆さんも、桃から生まれた桃太郎に夢中で、
桃太郎の入っていた桃のことなんて、それっきり忘れてしまったんですもんね。

じゃ、その桃はどうなったかって言うと・・・
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ま、色々あってね。
とにかくめでたし、めでたし。で終わるんですよ。

複刻ではありますが、このシリーズはもう、古本屋でしか手に入らないでしょう。
でも買った人たちは、きっと元々が私のようなマニア系。
滅多なことでは手放さないはずです。

私は今でも探しています。幸せの「赤い鳥」・・・

百閒は後日、小文の中に、次のように記しています。

・・・「王様の背中」は私の文章と谷中安規氏の版画との合作である。
初めは谷中氏に挿絵をかいて貰ふと云ふつもりであったのが、出来上がつて見ると、
谷中安規画集の趣きがある。・・・


百閒ファンのみならず、安規ファンにとっても咽から手が出るほどの一冊でしょう。
まして両者の大ファンである私には、ダイヤモンドより価値ある本です。

※「ほるぷ」の名著複刻シリーズでは、紙質から製本方法、文体まで、
全て原本の通りに複製するので、「復刻」の字ではなく「複刻」を用いました。
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by haruno-urarano | 2008-04-20 20:40 | おはなし