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パンツのはきかた

こんなうた、歌ったことがありますか?



         ♪ パーンツはね  (チャーンチャチャチャチャッ)
  

              はじめに かたあし 入れるでしょッ
 
               
              それから も~かたっぽ 入れるでしょッ


              それから キューっと ひっぱって  


              そこまでできたら たちましょう~ ♪





今日の絵本はこちら



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                          「パンツのはきかた」
                       岸田今日子・作 /佐野洋子・絵
                         2011年1月 福音館書店




数日前、本屋の絵本コーナーをウロウロしていたら、この題名が目に飛び込んできました。

「パンツのはきかた・・・って。なに?あの歌のこと?」 
「え~?佐野洋子さん!?は~?岸田今日子さん!!??」
「なになに?あの歌のことじゃないの~?」


と、手にとってみると・・・

「やっぱあの歌だぁ~!!へぇ~~~、あの歌って、岸田今日子さんが作詞したんだ~!!??}


と、学校で一時期、大流行したこの強烈な音楽の歌に、およそ35年ぶりに再会しました。
「くろねこのタンゴ」や「およげたいやきくん」が世代を越えて支持されたのとはちがって、
ほんの一瞬の時期、子どもの間ではやっただけの歌だと思っていたけれど、
30年以上の月日が流れて、ハードカバーの絵本になるとは、
ひそかにずっと、ヒットを続けていたのでしょうか。

それにしても岸田今日子さんが作詞したとはビックリ仰天。
佐野洋子さんの描くブタちゃん。。。なんかどこかでよく見る、太ったおばさんそっくりだ。
そうよね、あんまり太りすぎてるとね、パンツをはくのもおおごとだから、
うたでも歌って、元気よくはかないとね。
それにしても、ブタちゃん太りすぎじゃないかな。
せっかくはいたのにね、どうするの?また脱いではきなおすのは大変だよ。
やっぱちょっと、痩せたほうがいいかもね。



              ♪そうしてうえまでひきあげて


                つっかえたらばできあがり


                     あーあ 


                  せっかくはいたのに


                  うらがえし(チャンチャン)♪





35年。
長いような、長いような、やっぱり長いような、
でも短いのかな。人の一生は。

岸田今日子さんも、もういない。
佐野洋子さんも、もういない。

去年の私の誕生日に、佐野洋子さんが、いなくなった。
今年から私の誕生日は、佐野洋子さんの命日だ。
亡くなってからも、こんなにビックリさせられちゃったな。




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by haruno-urarano | 2011-01-25 11:22 | 日本の絵本

あたごの浦

新年やさかい いかにもおめでたそ~うな 

こんな絵本から はじめてみたい 思いますねん。

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今日の絵本はこちら

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                        「あたごの浦 讃岐のおはなし」
                     脇 和子・脇 明子 再話/大道あや・画
                           1993年 福音館書店




前はとんとんあったんやと。
ある、お月さんのきれいな晩のことや。
あたごの浦に、波がざざーっと、
よせてはかえし、よせてはかえし、
砂浜は、明るいお月さんに照らされて、キラキラ、キラキラと、
光っりょったんやと。



・・・と、こないな語り口ではじまりますねん。
讃岐の言葉は、わてようわかりまへんけんど、
適当に声に出して読んでるだけでも、
とーってもええ気持ちになりますねん。
自分で読んでも、こないにええ気持ちなんやから、
人に読んでもらえたら、そらーきっと、ごっつええ気持ちやろうなあ。



そしたらそこへ、おーけなおたこが、お月さんの光にうかれて、
ゆらーり、ゆらーりと浮いてきて、砂浜へあがったんやと。




ただのたことは違いますねん。おーけな、おたこですねん。
そのおたこがな、なんと畑のおなすびをな、ムシャムシャと食べたしたんやと。
するとそこへな、鯛まで浜へあがってきますねん。



「こらこら、おたこ、おまえはそこで、なにをしよんや」

「へえ、おなすびをちぎって、食べよります」

「そうか。それもええけど、今晩は、お月さんがきれいなけん、
ひとつ、魚どもを集めて、演芸会でもせんか」




ほんでな、あっちからもこっちからも、魚がぎょうさん集まってきてな、
そりゃもう、にぎやかな演芸会がはじまったんやと。

しばらく歌うたり、踊ったりした後にな、また鯛さんが言うたんやと。



「なあ、みんな。ここいらで、ひとつ、とっときのかくし芸を、見せることにせんか」



かくし芸とはまあ、そりゃお正月らしくてええですねん。
魚たちも大喜びでな、、「まず、鯛さんから」って言うたんやと。
そこで鯛は、とっときの芸を見せたんやけどな、
これがまあ、おめでたいのなんのって、さすがは鯛だけのことはありますねん。
「これどうじゃ」
みんな感心してな、



「妙々々々々々」と、はやしたてたんやと。


ほな、みなさんもご一緒に。
「みょう みょう みょう みょう みょう みょう」



鯛の次は、ふぐや。
「これどうじゃ」
「みょう みょう みょう みょう みょう みょう」


お次はおたこ。
「これどうじゃ」
「みょう みょう みょう みょう みょう みょう」



いやいや、魚たちの芸達者なこと、おどろきますねん。
まったり、めでたい、あたごの浦の演芸会。


今年も、このおはなしのように、
のんびり、ぼちぼち、まいりまひょ。
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by haruno-urarano | 2011-01-07 14:20 | 日本の絵本

きつねのざんげ

今日の絵本はこちら

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                        「きつねのざんげ」 安野光雅
                           1979年 岩崎書店




今年もまもなく、暮れてゆく。
今年もどれだけ、嘘をついたか。


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狐は偽善者になりたかった。類い稀な、偽善者に。
だから狐は嘘をつき、人を騙し、
できるだけ狡猾に、
できるだけ卑怯に、
生きてきた。


嘘ばかりつく政治家にあこがれて、
嘘の多い書物を見ては、
偽善というものの素晴らしさに胸を打たれた。


いつの日か「偉大な偽善者」になることを夢見ながら、
狐の子どもは強くなる。
森の獅子王を騙し、
首ながの鶴をからかい、
恐ろしい狩人もまき、
仇の犬は抹殺する。


でも、


                           お月さま
                           お月さま
                        今夜のあなたは
                いつものお月さまとは ちがうように 思えます


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偽善者になるために、狐は最高の嘘をつき、そして失敗をした。
狐は狐をやめて、人間になってしまったのだ。



安野さんの「あとがき」の、大好きな部分。

    
                   私は子どもの頃、治ちゃんという子と一しょに清という
                   友達の家へ遊びにいくとき、城山の下の道で、
                   「僕はな、狐が化けとるんだぞ」
                   と突然いってみた。治ちゃんはひどく驚いた。私まで
                   恐くなって、「うそだ、うそだ」とすぐに打ち消したが、
                   この時のぞき見たフィクションの世界はいまでも忘れ
                   られずにいる。


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来年もきっと、人間はたくさんの嘘をつく。
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by haruno-urarano | 2010-12-29 16:15 | 日本の絵本

A Small Miracle

今日の絵本はこちら

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                      「聖なる夜に A Small Miracle」
                            ピーター・コリントン
                            2000年 BL出版




寒い冬の朝、おばあさんは家の寝台の上で目を覚まします。家といっても、コンテナのような狭い木の箱のような小屋です。おまけに床は朽ちて抜けています。

粗末な寝台から降り、ストーブに火をつけようとしましたが、もう石炭はありません。パンもミルクもからっぽです。お金を入れておく鍵のついた大切な小箱を開けると、何も入っていませんでした。

おばあさんはアコーディオンを背負って家を出ました。外は一面の雪です。寒いけれど、おばあさんには手袋もありません。

おばあさんは町へ向かって歩きます。今日はクリスマスイブなのです。途中にある小さな教会の中をのぞくと、帽子をかぶったおじいさんが、ちょうど馬小屋の場面の人形を並べていました。

町には人がたくさんいました。モミの木や大きな箱や紙袋など、みんなたくさんの荷物を抱え、忙しそうに歩いています。だからなのでしょうか。カフェのウインドウの前でおばあさんがアコーディオンを弾いても、誰も気づこうとはしません。カフェのお客さんが何度も変わる間、おばあさんはずっとアコーディオンを弾いていました。とうとう疲れて、おばあさんは座り込んでしまいました。カフェのお隣は、質屋でした。おばあさんはゆっくりと立ち上がり、質屋の重い扉を開けました。

アコーディオンを売れば、クリスマスイブにパンとミルクくらいは食べられます。でも、明日はどうするのでしょう?明後日は何を食べるのでしょう?・・・いいえ、おばあさんには、明日よりも今日、今、この時、空腹を満たすことの方が大切なのです。大切なアコーディオンが、たった一枚の紙幣になりました。おばあさんはその紙幣をていねいに小箱に入れると、寒い外へ出て行きました。

その時のこと。マスクで顔の半分を覆ったバイクに乗った男が、おばあさんの全財産をひったくって逃げて行きました。なんということでしょう。でも、どうにもなりません。おばあさんはとぼとぼと、家へ向かって来た道を戻ります。

行きがけにのぞいた教会の前を通りかかると、なんと先ほどのひったくりが教会の献金箱を盗んで出てきたのです。どこにそんな力があったのでしょう。おばあさんは夢中で男に立ち向かい、献金箱を奪い返しました。

教会の中に入ると、馬小屋はめちゃくちゃです。マリアもヨセフも東方の三博士も、生まれたばかりの赤子まで、床に投げ捨てられていました。おばあさんは馬小屋をあるべき姿に戻し、献金箱を馬小屋の前に置くと、静かに教会から出て行きました。

おばあさんは雪の中をよろよろと歩きます。空腹で、おまけにさっき、残っていた全ての力を使ってしまいました。もうこれ以上は歩けません。立っていることさえできません。ばたりと、おばあさんは雪の中に倒れてしまいました。

おばあさんは死んでしまうのでしょうか?
いいえ!もちろん、これからミラクルがはじまるのです。
でも、これは「奇蹟」なんでしょうか?正しい者に起こるべくして起きた出来事のように思えます。
ともあれどんな奇蹟が起きるのか、ピーター・コリントンの表情豊かな絵に、自分でおはなしをつけて楽しみます。(字のない絵本です)

今年もまた、メリークリスマス!

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by haruno-urarano | 2010-12-22 12:47 | 翻訳絵本

きんぎょ


きんぎょいろと おそろいの きれいな 赤いろ 


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窓の向こうも  きんぎょいろ


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今日の絵本はこちら


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                      「きんぎょ」  ユ・テウン 作/木坂涼 訳
                            2009年 セーラー出版







おじいさんは 森のおくの ふるい 図書館で 働いていた。

ある日 ジェジェは おじいさんと一緒に 図書館へ行った。

なかよしの きんぎょを 連れて。



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森はもう セピアいろ。 図書館も セピアいろ。

ジェジェも おじいさんも セピアいろ。

月明かりも セピアいろ。

きんぎょだけ 赤い。





きんぎょに 本を 読んであげていた ジェジェが

ふと 顔をあげると





きんぎょが いない。

あたりはぜんぶ セピアいろ。





でも

きんぎょの しっぽが 見えた。

ちらっと 棚の うえのほうに。




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ジェジェは きんぎょを おいかけた。

もうちょっとで つかまえられそうになったとき





きんぎょが 消えた。

ほこりをかぶった 赤い 本の前で。




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ジェジェは そっと開いてみた。




ふしぎなことが おこった。




       

作者:ユ・テウン
  韓国生まれ。イラストレーター。
  伝統文化を愛する祖父母の家で育つ。
  ニューヨーク在住。




描かれた人物の表情を見て、ああ韓国人らしいと、すぐに思った。
この作風は、伝統文化を愛する祖父母の影響なのか。
それとも外国に暮らす身ゆえのアイデンティティなのか。

凝ったカバーも、表紙の手触りも、きんぎょの色も、
セピア色の絵も、幻想的な話も、
お国柄の現れた個性的な絵も、

どれもこれも好きになった、今年集めた一冊。
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by haruno-urarano | 2010-11-06 16:10 | 翻訳絵本

かさぶたって どんなぶた

これはブタ。 どんなブタ? 


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えーと、バンザイしてるブタ。


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じゃあここで問題です。





かさぶたって、どんなぶた?





・・・・・考えたこと、なかったなぁ~~~ (´ー`)







今日の絵本はこちら




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          絵本 かがやけ・詩 あそぶ ことば 「かさぶたって どんなぶた」
                       小池昌代・編 / スズキコージ・絵
                           2007年 あかね書房  





もうこの絵本のタイトルを見た瞬間から ワクワク、ウキウキしちゃって、
早く読みたくて読みたくて ウズウズ、ソワソワしちゃって、
私としたことが、コージズキンの絵とも気づかずに、ただタイトルだけ見て買っちゃったのよ!


絵本だって?
いや、詩集だよ!
え、詩集だって?
いや、ことばあそびだよ!
ことばあそびの本なの?
いや、やっぱり絵本だよ!
いやいやもうとにかくとにかく、楽しいんだから、何だっていいっさ~!



ねえねえ、かさぶたってどんなぶたか、今まで考えてみたことがあった~?



すっごいなーーー。私しゃ感動したよ!
詩人ってさ、天才だね!
そりゃそっさ、だから詩人ってんだ~!




ワクワクワクワク、ワクワクワクワク、ワクワクワクワクしながら開いたよ。
かさぶたって、かさぶたって、一体どんなぶたなのさ~~?




お!なんと!!!これはアンソロジーじゃない!!!!



うわーーー。。。。参った参った!特選詩集のトップを飾るのは、
ねじめ正一の「あいうえおにぎり」じゃないか~~~~~っ!!!!!!!

わっはっはっはっ!
もう「かさぶた」のことも忘れてねじめワールドに酔いしれちゃうよ!
ばっちし、暗誦できちゃうもんねっ!ほいっ!


   あいうえおにぎり ぺろっとたべて
   かきくけころっけ あつあつたべて
   さしすせ・・・・

  
ひひっ、もったいないからもう教えない~!
でもねっ!この詩のいっちばん好きなとこは、最後の行!

   わいうえおもちも・・・・・ オシエナイ~~~~~~♪

もう感動しちゃって私しゃうれし涙がいーーっぱいだよ!




えーっと、ほかに好きな詩はって言うとー・・・


谷川俊太郎の「おならうた」でしょー、
有馬敲の「せみ」でしょー、
藤富保男の「はやく」でしょー、
まど・みちおの「がいらいごじてん」でしょー、
阪田寛夫の「お経」と「わかれのことば」でしょー、
松岡享子の「きのうのきんようび」でしょー、
・・・って、ほとんど挙げてるな~。

だってさすがに特選詩集、
この詩もあの詩もぜーーーんぶ愉快なんだもん!
正直に言って、今までの詩の概念を超越する作品だらけだよ!
そうか!これが詩なんだ、これが詩でいいんだ!
ならば私にも作れるかも・・・・ってことは絶対ない。
やっぱり詩人は天才だ!





さてここで、もう一度問題です。







かさぶたって、どんなぶた?











答え合わせは絵本でどーぞ♪


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by haruno-urarano | 2010-10-22 23:23 | 日本の絵本

画集 赤羽末吉の絵本

今日の画集はこちら


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                   「画集 赤羽末吉の絵本」 2010年 講談社




2010年5月から9月まで、東京と安曇野のちひろ美術館で、赤羽末吉の生誕100年展が開催されました。


昨年から赤羽末吉の生誕100年に関するイベントが開かれるのを楽しみにしていましたが、9月末の展覧会終了間際になって、ようやく安曇野まで出かけることができました。


東京の展覧会では、私の大好きな「おへそがえる・ごん(ごんちゃんの紹介は→こちら)」 の制作過程のダミーが展示されていたそうです。東京展と安曇野展では展示内容を変えるとの情報を見たので、「ごん」のダミーはあるかなぁ、あればいいなぁ・・・と思っていたのですが、残念無念、ダミーはなくて、原画が2枚展示されているだけでした(安曇野展でのダミー展示は確か「ほしになったりゅうのきば」・・・だった、と思う。もう忘れちゃった!)。


それでも、いくつの色も使っていない作品の「ごん」ですら、絵本と原画ではこんなにも色合いが違ってしまうとは。和紙に日本画の絵具を使って描かれた作品は、どう頑張ってみても、印刷でその美しさや柔らかさが再現されることはないのでしょう。赤羽末吉さんだって原画と絵本の出来の違いは当然わかっているだろうに、それなのに、ここまで・・・。実際に出版されている絵本を見ても特に欲しいとまでは思わなかった作品が、原画を見たら全てが欲しくなってしまった。それは原画の美しさに魅せられたためだけではなく、作者の魂を感じてしまったためかも知れない。


50歳で最初の絵本を出してから80歳までの30年間で90冊。この数字はすごいものだと思います。1つ1つの作品にスケッチ、設計図、ダミーは3段階にも4段階にも分けて作り、それからやっと本描きをする。数年かかりで作った作品もある。代表作の「スーホーの白い馬」は、1961年に「こどものとも67号」として出されたものを再度描き直したものでした。今回初めて「こどものとも」版の作品を見たけれど・・・赤羽さんごめんなさい、私はこっちの方が好きです。でも2年という歳月をかけて作り直した情熱に、それほどまでの大陸への思いに、ただただ敬服するしかありません。


何を基準に絶版にするのか知らないけれど、今はもう出版されていない作品もずいぶんあります。赤羽絵本90冊全てを手に入れるのは無理だろうけれど、コツコツと収集していこうと決めました。あ、いや、コツコツしていたらそのうちまた絶版になってしまうかもしれないから、急がないとダメなのかもね。こりゃ大変だ。


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by haruno-urarano | 2010-10-02 11:06 | 日本の絵本

そうべえごくらくへゆく

今日の絵本はこちら

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                  「そうべえごくらくへゆく」  作・たじまゆきひこ
                           1989年 童心社
 
 

毎度お待たせ。「あの世三部作」、最終回の第三部は、敗者復活戦だよ!



死んだら目出度く極楽へ行くか、それともおっかねえ地獄へ落ちるかって?


んなこた死ななきゃわかんなねぇな。
生きてるうちからんなこたグダグダ心配してたら、人間なんざやってらんねぇや。
地獄だろうがなんだろうが、どこだって行ってやるさ!



・・・とかなんとか言ってさ、ホントは極楽に行く自信がないだけさ。



でもね。地獄に落ちても、それで諦めちゃ~いけないよ!
地獄と極楽って、実は隣り合わせになってるんだ。
ちょっと工夫をすれば、極楽への扉が開きそうだよ!



例えば。軽業師のそうべえさん。
それと山伏のふっかいさん、それに医者のちくあん先生。
お3人、あるとき一緒に死にまして、そろいもそろって地獄へいったとさ。



生きてるときに、どんな悪さをしたのかね?
閻魔さんの審判で、「ふんにょう地獄」行きが決まってしもた!
それもちょうど、集団食中毒でお腹を壊して死んできた者たちが、
ぴちぴち、ぴちぴち・・・・・と。うわあ・・・これはたまりませんわ。



芸は身を助く、なんて、娑婆にはそんな言葉があるけれど、
どうやらこれは、あの世にも通用するらしいよ。
まずは山伏のふっかいさんが出てきたよ。
生きてるときは、いんちきなまじないをして、悪いこともしたらしいが、
ちゃんとお山へ籠もって、修行もしたんだね。
ほら、なむ・・・・なむ・・・・と唱えたら・・・



おっとここで、閻魔さん。この人、せっかちでねぇ、
「なにをごじゃごじゃ言うとるか。はよう入れぇ!」
と、3人を小突いたら、
あらまあ、どっぽん、ちゃっぷーーん。
閻魔さんも一緒にはまってしもた、ふんにょう地獄。
でもここで、ふっかいさんのまじないが効いてしまったから大変だわい。
うんこ、がちがちに固まってしもた。板みたいになったぜよ。
あああ。閻魔さんまで、うんこの板に挟まって抜けられない。
せっかちはいかんね、閻魔さん。よく勉強し。



閻魔大王さまがふんにょうにはまってたら、仕事んなんないわ。
まじないを解いてもらわんとな。
でもタダで解くわけにゃいかんよな。
地獄の沙汰も金次第、って、娑婆だって言うもんね。
お3人、金はいらんが、極楽に連れてってもらったよ!


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おお!みごと極楽へ行って、これでめでたしめでたし!
・・・いやいや、話はまだまだ続くよ。
だってまだ、山伏のふっかいさんの芸しか出てないでしょ?
これから3人、大騒ぎして極楽の掟を破り、
阿弥陀さんに牢屋に入れられてしまうのさ。
「あしたには地獄送りじゃ」だってさ!
仏の顔も三度までって、極楽じゃ通用しなそうだね。



さあさあさあ・・・お3人さん、どうするどうする?
まさかおとなしく、地獄へ戻るなんて・・・んなこたないねぇ。
そうそうもう一人。牢屋の中でお仲間が増えて、お4人さんになりやした。
さてさてどんな技が飛び出すか。
そして最後は・・・あれー?ここは極楽?それとも・・・?


地獄を恐れる暇があったら、芸を磨こう!修行じゃ修行!
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by haruno-urarano | 2010-09-23 22:48 | 日本の絵本

地獄 

今日の絵本はこちら

あの世三部作・第二部

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                          「絵本 地獄 じごく」
                   監修・宮次男/構成・白仁成昭、中村真男 
                          1980年 風濤社
               (千葉県安房郡三芳村・延命寺所蔵「地獄極楽絵図」を編集)




死後にあの世があるのなら、
あの世に地獄と極楽があるのなら、
そしてどちらかひとつに行くことになるのなら、
やはり美しく安楽だという極楽の方へ行きたいと思う。


けれど、
極楽は西の彼方の十万億土のところにあるそうだ。
念仏行者は死後ここに生まれるそうだ。
行いを正しくしていると行けるそうだ。
私には、
極楽への道は果てしなく遠い気がする。


ならば、
もうひとつのあの世の方ならどうかと言うと、
労せず今すぐにでも行けそうな気がする。


では、
地獄ってどんなところだろうかと、
ちょっと下調べをしてみた。


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なんだか猟奇事件の現場を見ているようで、おぞましい。
・・・現実の世界で地獄と同じようなことが発生しているのは、もっとおぞましい。


この絵本を見た小学2年生たちは、異口同音に
「死ぬのはいやだ。こんなとことへ行きたくない」と言ったそうだ。


私は小学2年生ではないが、感想は小学2年生と全く同じだ。
いやだ。地獄になんか、行きたくない。


では、
どんなことをすると、どんな地獄へ落ちるのだろう。


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かまゆで地獄・・・嘘をついたり、約束を破った者は、
かまゆで地獄で、くりかえしくりかえし、煮られるそうだ。


火あぶり地獄・・・盗みをした者が落とされるそうだ。


針地獄・・・いい子ぶって告げ口したり、他の人を馬鹿にして
悪口を言ったりした者は、ここに落とされるそうだ。


火の車地獄・・・他の人の話を最後まできちんと聞かずに、
自分勝手なふるまいをする者は、火の車で地獄中を引き回されるそうだ。



まだまだ、あるぞ・・・・


いや、もう結構・・・・


ぎくり。びくり。これはまずい・・・・やはり死んだら・・・・



しかし私は、
常々蜘蛛は殺生しないようにと、心がけているぞ・・・。
芥川龍之介の影響だけじゃない。
「朝蜘蛛は縁起が良いから殺すな」と、
子どもの頃に聞いた言葉をしっかり守っているんだ。
でも白状すると、
「夜蜘蛛は縁起が悪いから・・・」
の言葉も、時々守ることがある。
蜘蛛の糸は、期待できないか・・・。



どうしよう、どうしよう・・・・。
このまま地獄へ真っ逆さま?



そうだ!あの手がある!
次回、第三部は「敗者復活戦」!









・・・それよりも悔い改めて、行いを正しくすればよいのじゃないかって・・・?




へへへ。







※風濤社より、この絵本の刊行意図を伝える言葉(部分抜粋):


私たちは、これを見る子供らが、「死ぬのはこわいことだ」ということを強く心に刻むであろうと、それを主題に絵本づくりを思いたちました。

ひとの死に対する恐れは本能といわれるものでしょうが、それはまた、学習によって強められることを、日常の経験を通して私たちは知っています。

文明は危険な環境を日々ふくらませています。それにひきかえ「死のこわさ」を学習するチャンスは、ますます遠のくばかりです。

いま、私たちが子どもらにしてやらねばならぬこと、それは、生きることのよろこびたのしさを存分に教え、と同時に自らの生命を尊び、自らそれを強く守るという心を培ってやることでしょう。それはまた、他者への思いやりや生命を尊ぶ心につながっていきます。

死を恐れることのない子どもらが育っていくとしたら、こんなにこわいことはありません。

                                      1980年8月16日 風濤社
               



※千葉県安房郡三芳村・延命寺所蔵「地獄極楽絵図」は、毎年一度、8月16日(「地獄の釜の蓋もあく」日) に一般公開されます。
もちろんまだ見たことはありませんが、「死ぬまで」に是非とも見てみたいものです。

→ 延命寺 地獄極楽絵図
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by haruno-urarano | 2010-09-17 15:21 | 日本の絵本

極楽

もうすぐ秋のお彼岸ですので、
ちょっと死後の世界でも覗いてみませんか~?

「あの世 三部作」 はじまりはじまり~♪ 


第一部 

今日の絵本はこちら


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                「絵本 極楽 ごくらく」 西川隆範・文/舛田英伸・監修
                        平成21年   風濤社
 



極楽とは、阿弥陀さまのいるところ。
はるか西の彼方の、十万億土も離れたところにあるそうな。


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そこでは雲が五色に輝き、
その上にいろんな人が乗って空を飛んでいるそうな。



大きな蓮の浮かんだ池があって、
その池は金、銀、琉璃・・・など、七つの宝でできてるそうな。



それからここでは木が七重に並んでいて、その中に家があって、
人がいたり、人の顔をした鳥も住んでいるそうな。



空には楽器が浮かんでいてね、
勝手に鳴って、きれいな音楽を奏でるそうな。



おや?おしゃべりしているよ。何を言っているのかなぁ?


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へえ、こっちでは踊っているよ。楽しそうだねえ。


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花の上に大きな人が座ってる。
カンノンさんとセイシさんって言うんだよ。

そして極楽の国の王さまはね、アミターユス・アミターバさまって言うんだって。
すっっごく
でっかいんだよ。


アミターユス・アミターバ王は
いつもみんなを守っているんだって。
そしてこう言う。
「極楽は、きみの心のなかにあらわれる。
きみの心が極楽のけしきになるんだ。」



いつか死んだら、こんな王のいる国に行けるだろうか。


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さて、どうかな。


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えへへ、怪しいな。


ならばもう一つの「あの世」の方も、先にちょっと覗いてみるかな。




※この絵本の絵は、京都・法然院所蔵「聖衆来迎図」、愛知・貞照院所蔵「観無量寿経変相図」
を編集したものです。
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by haruno-urarano | 2010-09-10 11:07 | 日本の絵本