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どうして?

今日の絵本はこちら

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  「どうして?」 サラ・ヴェルロークン作/野坂悦子訳
         2008年 光村教育図書

この絵本も、表紙を一目見て欲しくなったもの。
作者はベルギーはブリュッセルの大学院の卒業制作としてこの絵本を作成し、
この本でハッセルト市の国際絵本賞、ベルギーのプランタン・モレトゥス賞を受賞したそうです。
今はグラフィックデザイナー、イラストレーターとして活躍している模様。

一目で惹かれる絵本は、イラストレーターの作品が多いかもしれません。
この表紙のアヒルのかわいらしさ、そしてどこか憂いのある表情に引きつけられました。

何を憂えているのか・・・
それはアヒルがちっとも楽しくないから。
どうして?
それはあたりがまっくらだから。
空には灰色の雲、まわりには色のない花。
アヒルはどうしてこんなに暗いんだろうと考えた。
そのとき、頭にしずくがぽとん、と落ちてきた。
このしずくは、どこからくるんだろう
アヒルは行動しはじめた・・・

おはなしが進むにつれて、アヒルのまわりに色が生まれ、カラフルに。
そしてアヒルは、水に映った自分の姿を見て、はじめて自分の色を知る・・・

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# by haruno-urarano | 2018-11-05 19:09 | 翻訳絵本 | Comments(0)

カロリーヌのつきりょこう

今日は十三夜。
十五夜は中国から伝わったものだけど、中国に十三夜の風習はない。
十三夜をするのは日本だけだそうだ。
それは日本人の美意識に関係すると言われる。
完全なものより、足りないところに美しさを認める。
アンシンメトリー、余白、簡素なものに美を感じ取ると。
中国では、中秋節(十五夜)は春節(旧正月)に次いで重要な伝統行事。
美意識云々ではなく、満月は一家団欒の象徴なのだ。
そして私が思うに。
日本は十五夜の頃って、たいていが台風襲来のシーズン。
毎年毎年、今年の十五夜、見られるかなーと心配する。
でも十三夜の頃は、ほとんどが秋晴れ。
「十五夜の借りを十三夜で返す」そんな思いもあるんじゃなかろうか。

それはさておき。
今日のおはなしはこちら。

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オールカラー版世界の童話19 カロリーヌのつきりょこう
昭和42年 小学館

久しぶりの、世界の童話。やっとでました、カロリーヌ。

初版から50年以上の時を経て、今なお人気の高いこのシリーズ。
今さらカロリーヌのことを説明する必要もないでしょう。
でもフェリシモからカロリーヌシリーズの復刊&続編が出てから、もう20年もたつんだ!
そして作者のピエール・ プロブストさんが亡くなってから、もう11年もたってしまった。
本当にカロリーヌには楽しませてもらった。たくさんの夢をもらった。

20年以上前に祖母が亡くなったとき、一番年の離れたまだ小学生だった従弟に、こう言われた。
「昔のこどもって、何して遊んだん?」
「昔のこども」・・・今でもはっきり覚えている。
でもそうだよね。20歳以上も年が離れているんだもの。自分だって小学生の頃、高校生でさえおじさん、おばさんだと感じたもの。

昔のこどもはね・・・
家に電話もなく、家の前の道は舗装されておらず、風呂も薪でわかし、水道はしょっちゅう断水し、電気もよく停電し、なによりトイレはどっぽんだった、そんな時代に育ったこどもはね・・・
おばあちゃんと一緒におはじきしたり、おばあちゃんと一緒にあやとりしたり、おばあちゃんと一緒に和紙のお人形を作ったり、おばあちゃんの着物をほどいて作ってくれたお手玉で遊んだり、自分で紙芝居を作っておじいちゃんとおばあちゃんに見せたり、おじいちゃんとおばあちゃんと一緒にホットケーキを食べに行ったり・・・
そしてこんなにイカシた、カロリーヌと仲間たちと遊んだのさ!
どうだ、羨ましいだろう!

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何でも数年後に世界初の民間月旅行に行く人がいるらしいけど。
カロリーヌなんて、アポロ11号が月面着陸した1969年よりずっと前に月旅行したんだから!

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おまけにカロリーヌたちは月にリンゴの木を植えて、ニンジンの種をまいてきたんだよ。

監修者の波多野勤子さんは、こんなことを言っています。

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「もしみなさんが大きくなって、月の世界へ行くことができたら、よく探してみてください。カロリーヌたちが立ててきた立て札が、どこかで見つかるかもしれません。」

もしかして、その人は、それを探しに行くのかな!?
もしかして、その人は、カロリーヌを知っている、昔のこどもかな!?


オマケ
ピエール・プロブストとカロリーヌのモデルである愛娘のシモンヌさん

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# by haruno-urarano | 2018-10-21 16:42 | おはなし | Comments(0)

つばさをちょうだい

今日の絵本はこちら

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  「つばさをちょうだい」
ハインツ・ヤーニッシュ/作 ゼルダ・ソーガンツィ/絵 中村智子/訳
2008年 フレーベル館

表紙の絵に一目ぼれして買った本。

絵を描いたのはハンガリーかその周辺、中欧の人かな~?と思った。
ハインツ・ヤーニッシュさんはオーストリアの人。
そしてゼルダ・ソーガンツィさんはドイツのイラストレーター、グラフィック・デザイナーだって!

表紙の赤い服を着た女の子は、天使。
天使が「つばさをちょうだい」って?もともと天使はつばさを持っていなかったっけ?
実はこの天使、「ぼく」が庭でお絵かきをして描いている途中の天使なのだ。
どうやら「ぼく」は、いつも天使を描いているみたい。
ところが今日は、その天使が急にしゃべりだした。

いつもと違うつばさがほしい
いつも同じじゃつまらい

って。

そういえば、「翼をください」って歌、あるよね。
中学校の合唱コンクールによく使われる。
あの歌の中では鳥のように「白い翼」をつけて大空を飛ぶことが「私」の願いだったけど、
天使ともなると、もう白い普通のつばさじゃ満足できないらしい。

そこで「ぼく」は天使の願いをかなえるべく、いろんなつばさを描いてみた。
波のつばさ、草のつばさ、ガラスのつばさ!
雪のつばさ、影絵のつばさ!?
まだまだ、まだまだ・・・どのページもみんなキレイ!

最後に描いてもらったつばさ、天使はすっかり気に入ったみたい。
お礼に天使は「ぼく」を・・・

ゼルダ・ソーガンツィさん、絵本の他にも雑誌などでさまざまなイラストを手がけているらしいけど、邦訳されている絵本は今のところこの一冊だけみたい。
画像検索すると、それはそれは可愛くて美しくて綺麗な作品の数々が・・・
早く早く、もっともっとたくさんの作品が日本で手に入るようにならないかなぁ~!!

画像検索、見てみて!!
Selda Marlin Soganci








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# by haruno-urarano | 2018-10-21 00:04 | 翻訳絵本 | Comments(0)

安野さん2018年6月新刊3冊

3月に92歳になった安野さん。
福音館書店から6月に3冊も新刊が出ました。

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「しりとり」は、月刊こどものとものソフトカバー。
ソフトカバーのこどものともは、ほとんど購入したことがないのだけれど、今回は迷わず購入。

「旅の絵本」は、旅人が前回日本に来たので、もしやこのままアジアを・・・
と思ったけれど、9冊目はスイスへ行ったのでした!
もちろんスイスに海はないから、旅人は陸路でスイスに入ります。
どうやらイタリアからやって来たらしい。(そこまでは何で来た?)
スイスの風景に隠された、または込められた、あれこれ。
「旅の絵本」もVまでは「絵」だけの本で、自分の力で絵の中に隠された物語を探していましたが、Ⅵのデンマーク編(というよりアンデルセン編という方がいいかな)からは、安野さん自身による解説が加わり、安野さんの思いとともに絵を旅することができるようになりました。
今回のスイス編は、解説がなければ自力ではほとんど旅ができませんでした。
スイスの山、町、村、そして歴史も少し。こうやって興味が広がってゆくのです。

そしてもう1冊、「かんがえるこども」。これはエッセーです。
安野さんのエッセーとしては、ずいぶん薄い本ではないかと思います。
いつでも安野さんの本は、考えさせられる本でした。
安野さんの本は、いつもあとがきから読みます。
何の本にだったか、確か安野さんは、あとがきを最初に書く、と書いてあったような気がします。それを読んだとき、自分が安野さんのあとがきを最初に読むのは、正しい安野さんの本の読み方だったんだ!と大喜びしました。

安野さんが学校の先生をしていたころ、もしも自分がその学校の生徒で、安野さんに教えてもらうことができていたら、きっと自分は、勉強が、考えることが、好きになっていたに違いない。(と、勉強嫌いを他人のせいにする)
それにしても50年前。安野さんの教えた生徒の保護者の中に、福音館の松居直・現相談役がいらしたとは・・・これはもう、歴史的邂逅としか言いようがない。
感涙。




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# by haruno-urarano | 2018-07-16 18:47 | 日本の絵本 | Comments(0)

ハーメルンの笛吹き男

1284年6月26日に起きたとされる子供の集団失踪事件を基にする「ハーメルンの笛吹き男」の伝説。

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イギリスのヴィクトリア時代の著名な詩人ロバート・ブラウニングの書いた物語が有名。
右の絵本は同じくヴィクトリア時代を代表する画家ケート・グリーナウェイが絵を描いたものの日本語版。1976年刊行(文化出版局)。日本語訳(矢川澄子)は格調高い絵に合わせたかのような、いかにも古風な語り口。
左はスイスに生まれアメリカで活躍したコールデコット賞作家のロジャー・デュボアザンによるもの(2003年、童話館出版、長田弘訳)。

ロジャー・デュボアザンは大好きだけど、このお話の絵は、やっぱりケート・グリーナウェイの本が私は好き。だけど日本語訳は左の方が断然に読みやすい。でもでも、ビクトリア時代の絵には、やはりこういう語調が合っているような気がする。

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1284年、日本は鎌倉時代。この年の4月20日に北条時宗が死没した。
つまり蒙古襲来の数年後、フビライやマルコ・ポーロの時代に起きた事件。

もしもその時、本当にネズミが退治できたのなら、その後ヨーロッパでペストが大流行することも、魔女狩りが起きることもなかったのに、と思ってしまう。









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# by haruno-urarano | 2018-06-25 18:53 | 翻訳絵本 | Comments(0)