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「ごんぎつね」
新美南吉 作 / 黒井健 絵 1986年 偕成社
今年ももう こんな季節。 彼岸花の 咲く季節。
どうしてこんな 哀しいことに なったのだろう。
ほんの いたずら だったのに。
小さな こぎつね だもの。 ひとりぼっちの こぎつね だもの。
だけど。
小さな こぎつね だから。 ひとりぼっちの こぎつね だから。
その後悔は その心より どんなに大き過ぎただろう。
兵十 お前は なぜ 撃った。
ほんのちょっとの 短気のために どんなに自分を 苦しめただろう。
人生とは そんな ささいな過ちの 繰り返し だろうか。
黒井健さんの描く
優しく美しい 日本の秋の情景に
小さなごんの 哀しい瞳に
読むたび 涙が込み上げる。
どうしてこんな 美しい絵を 描くのだろう。
ご本人にとっても 特別な絵本とのこと。 原画を見てみたい。
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黒井健 絵本ハウス小学校では何かにつけて、クラスで「劇」をやった。
学期末だ、クリスマスだ、お別れ会だと、とにかくイチイチ「劇」をした。
あれはきっと4年生。「ごんぎつね」の「劇」をした。
自分が何の役を演じたのかは、とんと記憶にない。
「ごん」の役をやったのが、「ネズミ少年」だったことだけ覚えている。
「ネズミ少年」はちっちゃくて、色白で、ほっぺがピンクで、クチャクチャって顔をしていた。
「ネズミ少年」の演じる「ごん」は、とっても滑稽で、楽しかった。
最後に兵十が「ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは。」と言った時、
「ネズミ少年」は顔をクチャクチャにして「チュウ」と言った。ような気がする。
それからはいつも、「ごん」の話を思い出すたび、「ネズミ少年」の顔が思い浮かんだ。
「ごんぎつね」を読んで、涙を流すようになったのは、この絵本に出会えたおかげかも知れない。
ありがとう、黒井健さん。
「ネズミ少年」、君は今、どんな顔をしているのだろう。