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「オズの虹の国」 ライマン・フランク・ボーム
訳 佐藤高子 / カバー・挿絵 新井苑子 1975年 早川書房
「人生にとって大切なことは すべて子どもの本に書いてある」
・・・誰の言葉か忘れたが、そんな言葉を昔、読んだことがある。
「オズの魔法使い」のことは、たいていの人が知っていると思うけど、
「オズ」に全部で14冊のシリーズがあることを知っている人は、あまり多くはないみたい。
「オズの虹の国」はその第2作目。
作者のボームが、子どもたちの「お話の続きを!」という声に答えて世に出した、シリーズの始まりの1冊。
奇天烈な住人ばかりが住んでいる、「オズ」の国。この本の登場人物も、
それはそれは、絶対に期待を裏切らない。
中でも私が一番好きなのは、いつもニカニカ笑った顔の「かぼちゃ頭のジャック」。
だけど笑顔とは裏腹に、ジャックの心は、いつでも心配ごとでいっぱいなんだ。
僕の頭が腐ってしまう、ああ僕の命は短い・・・と、口を開けばそればかり。
今はもう、「オズ」の国にはインチキ大魔法使いの「オズ」はいない。
だれがジャックの悩みを解決してくれるのだろう?
この本を何度目かに読んだ時、
私はブリキのニックがジャックに向かって言った言葉に、ハッと目が覚めた。
「よろしいか、きょうの太陽をあすの雨でくもらせてはいけませんぞ。」
私は難しい大人の本は読めない。
だっていつまでも、いつまでも、大人になんかならないんだもん。
「人生にとって大切なことは すべて子どもの本に書いてある」んだもん。